[185] 給与、デジタルマネー解禁 厚労省方針「脱・現金」へ一歩(日経新聞)

厚生労働省は企業などがデジタルマネーで給与を従業員に支払えるよう規制を見直す方針を固めた。」H30.10.25木 日経新聞1面

以前「給与前払いサービス」について解説をしました。
[169] フィンテックに規制の壁「給与前払い」法整備後手に(日経新聞)
[170] 給料「前借り」急拡大 一部は「脱法」貸金?ルール必要(日経新聞)

給与前払いサービス」とは「給料日前に働いた分の給与をATMなどで引き出せるサービス」H30.9.5水 日経7面 金融経済 でした。

「ATM」と書いてありますので、銀行のサービスを使うことを前提としています。

いまではお給料の支払いに銀行振込はなくてはならないものになっています。たとえフィンテックを駆使した「給料前払いサービス」であってもその建付けに変わりはないということです。

しかし10/25木日経新聞1面の記事は違うことを言っています。

お給料の支払いに銀行をスキップ!

そして直接お給料を従業員に支払う!しかも!現金ではなく、デジタルマネーで支払いましょう!ということを言っています。

1947年制定の労働基準法は労働者への給与の支払いを「通貨で直接、労働者に全額支払うこと」と規定。その後、例外として銀行振込を認めたが、現金を原則とする骨格は変わっていない。厚労省はこの例外規定にデジタルマネーを加える方向で金融庁や関連業界と調整に入った。」同記事

銀行にとっては激震なのではないでしょうか。

現在お給料をもらってお勤めしている人の数は5,851万人(H29労働力調査)ですから、ひとり10万円ずつお給料が支払われたとしても6兆円近いマネーが一旦はどこかの銀行口座に振り込まれていたわけです。これらのビックマネーが銀行をスキップする…というのですから、銀行のスキームを根底から覆すぐらいの威力があることだと思います。

デジタルマネーとは、そんなに難しいものではなくて、同じ日の日経新聞3面には「きょうのことば」で具体的に解説してある項目が参考になります。

① クレジットカード(VISAカードなど)
② 電子マネー(Suicaなど)
③ スマートフォン決済(ラインペイなど)
④ デビットカード(銀行系のカード)
⑤ ビットコイン(仮想通貨)

③④⑤はともかく、①②はかなり身近な存在だと思います。

イメージ的にはお給料日になると!Suicaなど(わたしは中部圏に在住ですので、Toicaやmanaca)で改札を通過するときに表示される残額表示が、数百円とかではなくて数十万円や人によっては数百万円が表示される!という感じでしょうか。

考えるだけで違和感がありますし、交通系のカードにお給料が全額入っていると思うだけで心が落ち着きません。そもそも改札にそれだけの桁数の表示機能がありませんよね。( ;∀;)

カードの種類によって現金に換えることができなかったり、チャージの上限額が設けられていたりといった特徴があるが、労働基準法は給与をこうしたデジタルマネーで支払うことを認めていない。」H30.10.25木 日経3面総合2(きょうのことば)

現時点で既存のカードやアプリに条件を満たすものはないとみられるが、厚労省の解禁をにらんでサービスの開発が進む公算が大きい。」H30.10.25木 日経1面

給与のデジタルマネー化は日本で働く外国人労働者向けの需要が強い。」H30.10.25木 日経3面総合2(きょうのことば)

外国人を雇っている社長さんが毎月お給料を現金で袋詰めしている話は、以前ご紹介しました。なぜ現金袋詰めをしなければならないかというと、外国人労働者の方々は銀行口座をなかなか開設できないという実情があるからでした。

さすれば銀行口座はつくらずに、直接デジタルマネーでお支払い!すればよし!という発想です。

外国人労働者を多く雇う企業などのニーズは強いとみられるが、解禁によって日本人の給与の「脱・現金」がどこまで広がるかは不透明だ。」H30.10.25木 日経1面

このように日経新聞は記事を結び、日本人への浸透に懸念を示しています。

この懸念へのアンサーかどうかはわかりませんが、6日後に興味のある記事が掲載されていましたので、次回ご紹介したいと思います。

デジタル時代でも、現金が大好き!という記事です。

2018年11月06日