以前、生産性の計算方法の解説をしたときに、イオンがお肉をカットするロボットを導入したのは生産性向上を目論んでのことかもしれないということを書きました。
([029] イオンが食品加工ロボ(日経新聞))
そして生産性の計算式をイオンのロボ導入を前提に、ざっくり解説をした結果
「イオンの“生産性”は、間違いなく上昇するのでしょうね。業績アップ!株価もアップ!するかもしれません…」
と書きました。
6/19のことです。
どうやら、予想は的中したみたいです!
このたびの記事には、
「イオンが5日発表した2017年3~5月期連結決算は、最終的なもうけを示す最終損益が36億円の黒字(前年同期は62億円の赤字)となった。」
H29.7.6木 日経新聞
としています!
最終益が36億円ですから、投資で儲かったというような営業外収益や土地を売り払ったというような特別益が加味されて、黒字になった可能性がありますので、ここだけで判断することはできません。
こういう時は「営業利益」を見る必要があります。
営業利益は、売上(営業収益)から原価と販管費を引いただけのもの「通称:粗利(あらり)」です。
これは、本業のパワーを表していると読むこともできます。
ありました!
営業収益に関して書いてあります!
「売上高にあたる営業収益は1%増の2兆681億円、本業のもうけを示す営業利益は11%増の366億円だった。」
額が大きすぎて、感覚がうまくつかめませんが、とにかく「ふむふむ、生産性があがってそうだ」と思える決算結果です。
イオンと言えば、食品とともに衣料や電気製品なども扱っている「総合スーパー」と食品専門のマックスバリュやマルエツなどの「食品スーパー」、その他イオン銀行などの「金融」や「不動産」事業もやっています。
この決算は連結ですので、どのセグメントが貢献したのかを少し立ち入って確認する必要があります。
「営業損益の改善幅は総合スーパーが最も大きく」
「食品で粗利率の高い惣菜の素材や味にこだわり、販売を増やした。」
「電気代や宣伝広告費も抑制した。」
「総合スーパー」部門は、どうやら利益の出る商品を重点に売り上げを伸ばし、かつ販売管理費を抑制して利益率を上げたという企業努力が伝わってきます。
お肉カットロボは貢献したのでしょうか?
読み進んでみると…
「食品スーパー事業の営業益は19億円と64%減った。」
ええ… なんだか調子よかったのに…
と水をさされた気分になります。
その理由が…
「パートの社会保険の適用が拡大し、人件費が膨らんだ。」
マックスバリュやマルエツでは、パートがたくさんいて、たくさん働く人もいて、20時間以上働く人は、昨年の10月から社会保険に加入しなければならなくなった…
それが原因で「利益」が減った…
みなさんどう思います? お肉カットロボのことです!
奮闘むなしく、社保に喰われた… がっかり… なのでしょうか?
生産性の計算式を思い出してくださいね。
生産性を考える上では、人件費が増えるということは、増えた人件費を払えた!と考える
でしたよね。
[029] イオンが食品加工ロボ(日経新聞)
ということは、利益は確かに減少したのですが、その原因が価値の源泉である売り上げ減少ではなく、販管費の一部である人件費の増加であるならば、生産性は増加している可能性があるということです。
上の生産性の計算式にあてはめてみてください。
お肉カットロボの活躍のことは、この記事だけではくわしくわかりませんが、イオンの株価はお肉カットロボの記事が掲載された4月以降上昇トレンドにあります。
投資家の皆さんは、ご評価されているということでしょうか。
お肉カットロボに期待して、イオンの株をすこし買っておけば、お小遣いが増えていたかもしれません…
今日の記事ネタまとめ
①「イオン、2年ぶり最終黒字」(3~5月 総合スーパー改善)」H29.7.6木 日経新聞