[148] 生産性の具体的な計算例①(牛丼3社の場合)

生産性の計算は「稼ぎ出したお金」を「働いた人の数」で割ると求められます。



そして「稼ぎ出したお金」とは「営業利益」と「人件費」と「減価償却費」と「賃貸料」と「税金」を足したものでした。

ここ…やっぱりピンとこないポイントです。

「なんで人件費が稼ぎ出したお金やねん!」
「そんなん経費やんか!」

このようなコメントが実感に近いのではないでしょうか。わたしもその点(感覚面)は同感なのですが、生産性を理解しようとひとたび思うのであれば「会社がお金を稼ぎだしたからお給料が払える」という会社のそもそも論をよーく理解する必要があります。決して「従業員にお給料を払ったから会社がお金を稼ぐことができた!」ということではありません!

わたしも社労士として独立して自分で経理や会計をやるようになるまではこの理屈があまりよくわかっていないようでした。いまは実感をもってわかっているつもりですが、サラリーマン時代はいまのように実感をもってわかっていたかどうか、すこしあやしいと思います。

このポイントについては以前詳しく解説しましたので、過去の解説をぜひ参照してください。([028] “生産性”の計算方法!http://sr-fp.jp/posts/post27.html


とはいえ…この計算式はやはりむずかしいです。

正確に算出するにはどうしてもこの式(特に分子)でなければならないと思いますが、ザックリ知りたい!ときには、分子を「売上-売上原価」にすり替えてしまう方法もあります。

 



すこし詳しいことを申し上げますと「売上ー売上原価」には「販売費及び一般管理費」がそっくりそのまま含まれており、人件費はもとより広告宣伝費や交際費などの「経費」が含まれています。つまり分子から引き算すべきお金がすこし残ってしまっている状態なのです。したがって、もともとの式に比べて生産性がすこし多めに(会社にとっては甘めに)算出されてしまうことになります。

それでも手っ取り早く競合他社と生産性を比較するなどのときには、都合のよい「アラワザ」だと思います。

試しに、わたしの注目する(大好きな)牛丼3社について生産性を比較してみましょう!

もちろん「牛丼3社」とは「吉野家」「すき家」「松屋」です。社労士受験生時代には大変お世話になりました!「やすい!うまい!はやい!」は社労士受験生に限らず、受験生のおおいなる味方だと思います。

「吉野家」「すき家」「松屋」は牛丼店の名前ですので、会社の正式名称は「吉野家」が「株式会社吉野家ホールディングス」、「すき家」が「株式会社ゼンショーホールディングス」、「松屋」が「株式会社松屋フーズ」です。

いずれも牛丼以外の事業(吉野家なら、讃岐うどんの「はなまる」やお寿司の「京樽」も株式会社吉野家ホールディングスの一つです。)も牛丼の売上とともに合計した(連結した)数字を使ってみたいと思います。

Yahooファイナンスに掲載されていたのは「売上」「売上原価」と「従業員数」です。
(2017年3月期 ただし吉野家は2月期)


あとの数字は先ほどの「法則」(売上ー売上原価)÷従業員数 に基づき、引き算と割り算をしました。

これを見る限り松屋さんの生産性が高いことがわかります。この生産性という数字は売り上げの大小(すき家と松屋の売上は約6倍も違います!)や店舗数などによっても変化すると思われますので、どうしてこのように違いがあるのかについては、さらに深掘りする必要があります。

ちなみに同じくYahooファイナンスの情報によれば、吉野家さんの平均年収は698万円(6,980千円)ですので、自分のお給料の約4倍程度の「付加価値」を一人一人が生み出しているということになります。自分のお給料以上に生み出した付加価値で税金が払えたり、会社のシステム投資のローンが払えたり(減価償却)、お店の賃料が払えたりしているということです。

「σ(゚∀゚ )オレは自分の給料分は稼ぎ出している!文句あっか!」

このような啖呵を切るひとがいるとして「稼ぎ出しているマネー=ご自身のお給料」と思っているとしたら…会社のことを知らない「アホ」だということがよくおわかりいただけると思います。

明日も明後日もそして来週も来年も会社で働きたいと思うのならば、自分のお給料の4倍以上の「付加価値」を稼ぎ出していなければ威張ることはできない!ということです。「付加価値」ですので「売上」で換算すると吉野家さんの場合で、ご自身のお給料の約6.5倍売り上げてはじめて威張れる!ということです。

ピンときたらいいのですが、すこしむずかしいかもしれません。
でもこのぐらい稼がないと会社が倒産してしまいますので、そもそも会社で働くことができなくなるかもしれません。

これが会社を継続させるための理屈なのです。

みなさん頑張りましょう!明るい明日のために!ご自身の年収の何倍も稼ぐのです!
 ( ゚Д゚)ハァ…

2018年07月03日|ブログのカテゴリー:生産性向上