[086] 女性就業、出生率押し上げ(日経新聞)

先般「合計特殊出生率」について、3回にわたり解説しました。

「普通」出生率にたいする「特殊」出生率であり、普通出生率の欠点を補った統計が、特殊出生率である。

そして特殊出生率の集計方法には、二通りあり、ひとつは「コーホート」方式、もうひとつが「期間」方式である。

いずれの集計方法も年代別の出生率を「合計」する方法で集計しているので、その名称は「合計」特殊出生率である。

さいごに!
新聞報道などに掲載されている出生率は「期間」合計特殊出生率である!

このようなお話をしたと思います。

わたしの解説では、年代を5年ごとに区切った説明をしましたが、日経新聞(H29.4.12 水)には一歳ごとの年齢別の出生率をグラフにしたものが掲載されていました。

そのグラフは、横軸は「年齢」ですが、左端の15歳と右端の49歳がほぼゼロになり、おおむね30歳をピークにした正規分布を示しています。

出産年齢を15歳から49歳と定義した統計なのですが、結果的にほぼすべての出生数を補足できているように見えます。

この記事では、この正規分布のヤマの形が5年前に比べて、30から40歳代で高くなっていることが、グラフにより示されています。

5年前の推計よりも30~40歳代の女性の出産が増加した

このことが統計的に明らかになっています。

それと引き換えに20歳代中ほどの出生率が減少しています。

これは「これまで出産適齢期の人数が減っても、30代の出生率は回復していた」という記事の裏付けになりそうです。

また同じ記事では「20歳代の出生率は低下傾向が続く」としています。

このような出産行動の構造変化があるのですが、全体つまり「合計」した特殊出生率は上昇傾向であると判断されており、国立研の「日本の将来推計人口」の前提となる出生率は「5年前の前回試算1.35から1.44に上方修正」されています。

どのような要因で出生率が上昇して来たかについて、日経新聞は次のように述べています。

大きな要因は働きながら子育てをする女性が増えた点だ。第1子出産後も継続して働く女性の比率は1990年から約20年間は40%だったが、10~14年には53.1%と5割を超えた。

さらに次のようにも述べています。

共働きの増加に伴い、女性も家計を支える経済力を持つことが出生率を押し上げる傾向が鮮明になった。

「共働き」という言葉自体が、いまや絶滅危惧種になっているような気がします。

わたしはかつての東京オリンピックが開催された昭和39年生まれで、高度経済成長時代に子ども時代を送りました。その世代でも、わずかではありましたが母親が働いている家庭がありました。首から家の鍵をぶら下げている少年少女がその家庭の子息なのですが、当時は少数派で「かぎっ子!」なんて呼ばれていました。

統計的に見ると、現在では53.1%が「かぎっ子」であり過半数を獲得しているわけですから、もし「かぎっ子」が政党を結成していたとすると…

新聞の見出しだとこんな具合になるのでしょうか…

「かぎっ子」党 過半数獲得 安定多数53.1%
「かぎなしっ子」党 野党へ

むろん、まもなく… IoTによりカギはなくなり、iPhoneXのように顔認証でドアが開く時代がやってくるのでしょうね。

与党も野党も、党名変更をする必要があるかもしれません…w


今日の記事ネタまとめ

①「女性就業、出生率押し上げ(読み解き 人口推計)①」H29.4.12水 日経新聞
②「30代前半も出生率低下(育児環境・働き方改革急務)」H29.6.3土 日経新聞

2017年11月16日|ブログのカテゴリー:LIFE(出生と人口と経済)