先回解説した「コーホート」合計特殊出生率の計算方法は、すこし面倒で時間もかかるのですが、ファクトに基づいて調査をする考えですので、各世代の出産行動の変化を補足することができるという特徴があります。
しかしながら、やはりカロリーが高いですよね。
35年間も待てません!
そこで世代別に調査することはあきらめて、負荷を軽減した方法があります。
これが新聞でよく見る合計特殊出生率の計算方法です。
「期間」合計特殊出生率といいます。
「期間」とは「ある一年」のことです。
たとえば「ある一年」を「平成28年」として「平成28年」時点の年齢を基準に、例えば「コーホート」と同じ7つの年代のグループにわかれてもらうことにしましょうか。
ここでは仮に女性が10,000人住んでいるC町を想定してみます。
C町のグループごとの対象人数aは表のとおりです。
この対象人数aの女性に「平成28年に何人の子どもを設けましたか?」と訊ねて得た数字が出生数bです。
これを対象人数で割ると、各グループごとの1人1歳当たりの出生数がでてきます。
各グループは5年ありますので、さらに5倍します。
その掛け戻した計算結果がdです。
これをたてに①グループから⑦グループまでの数字を合計したもの(1.44)が、求めている「期間」合計特殊出生率ということになります。
この例では①グループから⑦グループまでの数字を足しこんでいますよね。
この「合計」が「合計」特殊出生率の「合計」の意味です。
この「期間」合計特殊出生率は、ある年を定めてその時点での年齢グループをつくりますので、「コーホート」のように結果がでるまで何十年も待つ必要はありません。
しかし…
世代ごとに出産行動が異なる… つまり25歳から29歳の③グループが働き方改革により「急激」に出産行動よりも社会でキャリアアップを目指すようになったが、④グループはすでに出産行動を終えている世代となっていた場合、たとえ③グループの人たちが5年後に出産行動をおこそうと考えていたとしても、この合計特殊出生率には反映されないということになります。
このあたりで実際のファクトに基づいて集計をする「コーホート」合計特殊出生率とは、捕捉される数字の性質が異なってくると思われますので、注意が必要です。
大きな変化がない、つまり緩やかな変化の時には、首尾よく実態がさほど労力と時間をかけずに補足できる都合の良い手法ということになります。
現在使われているのが、ほぼほぼこの合計特殊出生率というのは、集計方法を理解すると、納得できると思います。