少子化についての記事や日本の人口などの記事を読むうえで「出生率」は、かならず意識しなければならない数字です。
それらしき記事をザっとひろってみますと…
「女性一人が生涯に産む子どもの推定人数「合計特殊出生率」は65年に1.44で、12年公表の前回推計(60年に1.35)から上方修正。」H29.4.11火 中日新聞
「今回の推計では、長期の出生率の見通しを5年前の前回試算の1.35から1.44に上方修正した。」H29.4.12水 日経新聞
「1人の女性が生涯に産む子どもの数(合計特殊出生率)は1.44と前年を0.01ポイント下回った。」H29.6.3土 日経新聞
「05年の1.26を底とする出生率の回復基調は30代の出産が支えていた。」H29.6.3土 日経新聞
「合計特殊出生率は05年(1.26)に最低を記録し、12年以降は1.41~1.45の間で推移している。」H29.6.3土 中日新聞
このように出生率についての記述がたくさんあります。
そして「出生率」と呼んでいるものは、ほんとうは「合計特殊出生率」と呼ぶのだということがなんとなくおわかりいただけると思います。
さらに「合計特殊出生率」とは「1人の女性が生涯に産む子どもの数」であることも、記事から読み取れると思います。
しかし…
「1人の女性が生涯に産む子どもの数」とは、具体的になんなのでしょうか?
だれがいつどんなふうにだれを調べたものなのでしょうか?
ここまでつきつめられると、だんまり…になってしまいますよね。
このたびはこの「合計特殊出生率」(1人の女性が生涯に産む子どもの数)について紐解いてみたいと思います。
いきなり「合計特殊出生率」の解説をはじめると、すこし難しいと思います。
では素朴な疑問から入りましょうか。
どうして「特殊」なのでしょうか?
……
さらに沈黙…ですよね。
実は「特殊」のほかに「普通」があるから「特殊」なのです。
「普通」とは「普通出生率」のことです。
これは人口当たりの出生率のことですので、理解は簡単です。
たとえば、
1000人の人口のA街に10人の新生児が誕生した ⇒ 10÷1000=0.01人
500人の女性だけが住むB町で、5人の新生児が誕生した ⇒ 5÷500=0.01人
「普通出生率」は、このように単純な割り算で求めることができます。
しかし、この計算方法には欠点があります!
たとえば、先ほどのA街には女性が100人しか住んでいない(男性が900人)とすると「普通出生率」は、B町と同じ0.01ではありますが、0.01の評価がずいぶん変わってきます。
また、A街に住む女性がB町とおなじ500人(男性が500人)だとしても、A街の女性の平均年齢が40歳、B町の女性の平均年齢が20歳だといかがでしょうか?
これも同じ0.01ですが、評価は異なると言わざるを得ません。
このような欠点を排除して、異なる母集団でも横並びに比較評価できる数字としたものが「特殊」出生率ということです。
「普通」ではないので「特殊」と言う!ということです。
「特殊」の理解がすすむと、今度は「合計」という言葉がきになってきますよね。
すこしむずかしくなってきましたが、
次回はそのあたりを解説していきたいと思います。
じっくりおちついて整理をしてみてください!