「国立社会保障・人口問題研究所は十日、2065年の人口は八千八百八万人とする」H29.4.11土 中日新聞
人口減少の問題は、日本の行く末を考える大切な数字です。
約50年後の日本の人口は、1億人を下回るだけではなく、9千万人も切り込み…8,808万人になると国立研は推計しています。
いま直面している人手不足は、この人口減少問題と深く結びついています。
これが将来に向かって、解消されない…と宣言されるような記事で、すこし暗い気持ちになります。人口が減少することを前提として、会社の経営や仕事のやり方、選び方を考えるべきだということかもしれません。
実は、この記事の4日後に似たような記事が掲載されていました。
「総人口6年連続減」
H29.4.15土 日経新聞
あれれ???
とても似たような記事ですよね。
なんでしょう?
新聞社が違うので、同じニュースソースを違う日に掲載した?
まさか… 学級新聞ではありませんので、そんなことがあるはずはありませんよね!
日本の大新聞社ですから… ニュースは新しいからこそ、ニュースなのであって、他の新聞社に後れをとるなどということは、大新聞社の沽券にかかわります!(参考までに、日経新聞の販売部数は273万部、中日新聞は245万部です。)
実は…
中日新聞の記事は「国立社会保障・人口問題研究所」公表にたいして、日経新聞の記事は「総務省」発表によるものです。
それぞれ発表、公表元がちがうということです。
総務省発表の「人口推計」も、国立社会保障・人口問題研究所公表の「推計人口」も、ともに平成27年国勢調査を基礎にしているのですが、数字の性質が異なっています。
ざっくり!申し上げると、総務省発表は「現在」の人口数を示したものであるのに対して、国立社会保障・人口問題研究所は「将来」の人口数を推計したものです。
総務省発表の数字は、現在の数字と言っても、平成27年の国勢調査の数字をもとにして、出生数、死亡数、出国数、入国数を加減することによって算出しています。
つまり、国勢調査のようにいちいち数えたわけではないということです。
そのためでしょうか… 総務省はこの数字を「推計」という言葉で表現しています。
絶対ではないので「人口推計」と表現するところは、とても正しいというか… 非常に厳密性があるというか… おくゆかしいというか… 神経が行き届いていて、おそれおおい感じがしますが…
すこし残念なことに、これらふたつの「推計」は、まるでおなじもののように、意味をごちゃごちゃにしてしまいそうです。
総務省が「発表」
国立社会保障・人口問題研究所が「公表」
総務省が「人口推計」
国立社会保障・人口問題研究所が、日本の将来「推計人口」
そう言葉を使い分けているのは、意味あってのことだと思います。
今日の記事ネタまとめ
①「総人口6年連続減(1億2693万人 自然減、最多29.6万人)昨年総務省推計」H29.4.15土 日経新聞
②「人口2053年1億人割れ(65年には8808万人)国立研推計」H29.4.11土 中日新聞