先回はわたしがサラリーマン時代に出会った印刷職人のおじさんを引き合いに、新技術の導入と人材の活用と育成について、すこし語りました。
それを踏まえて、記事を読むと…
やはり同じような歴史が繰り返される予感がします。
「人手不足で裾野が広がるロボットやIT(情報技術)導入の動きは日本経済の生産性を高め、中長期的な実力を示す潜在成長率を高める土台になる。同時に必要なスキルを身につけて最新設備を使いこなせる人材を育てなければ、成長を押し上げる効果は弱まる。効率化した時代に適した人材育成の環境づくりも大切だ。」
ここでは新技術が導入されたときに、それを使いこなせる人材のこと、たとえばロボットが会社に導入されたときに、まずそれを操作できるひと、効率的にラインに組み込めるひと、ラインを離れて次の技術を開発できるひと、生産効率向上を前提として価格戦略を考えられるひと…などなどが必要になってくるのだ!ということを言っていると思います。
たしかに大切なことだと思いますし、特に若手人材にとっては、とてもよいチャンスになると思います。
だれも知らない技術ですから、若くとも第一人者になれるということです。
わたしが20代のサラリーマンになりたてのころに、消費税導入が決まりました。
その時に主任だった先輩…いまやその会社の執行役員となっている方ですが、そのひとから言われたことが、いまも忘れられません。
当時わたしがつとめていた会社は、神戸本社の会社でしたので、先輩はこてこての大阪弁交じりの神戸弁で、わたしにこう言いました。
(主任)「消費税導入されるんやったら、ふくだ!消費税の勉強せえや!」
(福田)「どうしてですか?」
(わたしは当時すこしあほでした…)
(主任)「あほか!おまえ!消費税のこと、日本で知ってるやつほとんどおらへんねんで!所得税とか、法人税はエライ先生おるけど、消費税はまっさらやから、おまえ、第一人者になれるで!」
「夢をかなえるゾウ」という一時期はやった本の中に出てくるガネーシャという神様のようなしゃべり方でしたが、いまから振り返るととても急所をついたアドバイスだったと思います。
そのときに消費税の勉強をはじめなかった当時の自分を悔いるばかりです…
30年間消費税一筋に勉強を続けていれば、今ごろはもしかして、ひとかどになることができたかもしれません…
わかいころのわたしはなにかとものぐさでアホでした…泣
誰も知らない法律ができる、誰も知らない技術が到来することは、たしかに勉強するなどの負荷はたしかにかかりますが、老いも若きも「ヨーい、ドン!」なのですから、若手にとってはおおいなるチャンスであることは、間違いありません。
そして…それとともに忘れてはならないのが、技術によって、追いやられるシニアの人材活用だと思います。
先回はそのことに、充分触れたつもりですが、その前提で記事を読むと、すこしじっとしていられない気持ちになります。
「ロボットなどによる労働力の置き換えは不可逆的な流れといえ、生身の人間にとって受難の時代はすぐ目の前だ。急テンポの技術進化に後れをとらないよう働き手の技術を底上げし、求職と求人のミスマッチをできるだけ起こさないことが、深刻な人余り時代への対処にもなる。」
「技術の底上げ」についての会社の責任は大きいと思いますし、「求職と求人のミスマッチ」とはどこかの労働市場のことではなく「社内の人材配置のこと」と読むべきでしょう。そして会社の限界利益や生産性…つまり会社の業績にかかわる経営課題として、なるべくはやめに施策を考えておくことが、会社の長寿と繁栄をもたらすのだと思います。
どうかチャンスをつかみそこないませんように…(祈)
チャンスの神様は前髪しかないそうです。
ものすごいツーブロックカットに違いなく、わたしはそんなおもしろい髪型をいままで見たことはありませんが、おおくのひとの経験則として、チャンスはやってくるときに掴まないと、追いかけてもダメ!ということを言っているのだと思います。
さあっ!いっせーのーで!
ですね!
今日の記事ネタまとめ
①「技術底上げ 環境整備(人材育成へ政府が新組織)」H29.8.26土 日経新聞