前回は、この一見して「かちん」とくる見出しの記事が、生産性向上の具体例について、上手に整理をしているということを述べました。
さきに結論を申し上げておきますね。
生産性向上の具体的なポイントは、次の3つだと言っています。
①ロボ(ロボットのことです。)
②IT
③人材教育
「AI」という言葉が、含まれていません。
実はこの記事にかぎらず、「AI」という言葉の定義やその指し示す具体例は、どうやら明らかにされていないような印象を受けます。
なにかわからないけど、あたらしい「救世主」のようなもの、Something New ! のようなことを、AIと呼んでいるのではないかと思うようなことがないわけではありません。
この記事の中で「AI」が出てくるところを、抜粋してみましょうか…
「…企業が一斉に人工知能(AI)導入などの省力化投資に動き始めた…」
「企業がロボットやAIで徹底した効率化に取り組むのは必然の流れとはいえ…」
「AIの発達が速いため、新たな雇用の受け皿が整う前にホワイトカラーを中心に…」
「AIなどで効率化に成功した企業は社員に…」
以上、4か所にAIという言葉が登場しますが、いずれも具体的な説明はありません。
そもそもAIとロボットは違うのでしょうか?
まだまだ勉強しなければならないことが、たくさんありそうです。
それはわたしの宿題として、さておきまして…
さて、順番にチェックをしていきたいのですが、まず「ロボ」です。
これについて、この記事の中には、受注金額などかなり具体的なことが書かれています。
「内閣府によると、機械メーカーが今年4~6月に受注した産業用ロボットの金額は1717億円と、前年同期より49%増えた。特需で生産が追い付かないところも多く、6月末の受注残高も1年前より32%増えて3843億円となった。」
これは「多くの企業は、ロボットなどで労働力を置き換える動きを強めている」ことが、そもそもの動機と言うことです。
わたしがたまに行く回転寿司屋さんは、マシンでシャリをにぎって?います。
そんなロボのことだと思います。
そのうちペッパーくんが、わたしの大好きな紋甲イカを握ってくれるようになるのでしょうか…?
次は「IT」ですが、これもかなり具体的なことが書かれています。
「大企業の今年度の情報化投資は5582億円と、前年度比28%増を見込む。設備投資全体の8.2%を占める。」
「京セラやKDDIは11月に、インターネットを使った水道の自動検針の商用利用を兵庫県姫路市の家島諸島で始める。」「検針が難しい地域での作業を無人化し、人手不足の解消にもつなげる狙い。」
これはIoT(Internet of Things)というヤツですね。
このようにAIという言葉をさておくと、企業の活動はとても具体的です。
確かにお寿司をロボットがにぎったり、水道検針がネットでできるようになれば、人は必要なくなるような気がしてきます。
では、いままでお寿司をにぎっていたり、水道検針をしてくれていたおじさんやおねーさんは、なにをすればいいのでしょうか?
まさか!失業?
はい、記事にはその通りだと書いてあります。
「リクルートワークス研究所(東京・中央)は機械による代替などで離職や失職が増えると完全失業率が上昇に転じ、25年に最大5.8%まで上がるとはじいた。09年7月などに記録した過去最高を上回る。」
09年7月の完全失業率とは、リーマンショックの時の失業率ということですから、それ以上という試算をしたということですね。
「えーらいこっちゃ!」
ということが、ここまで読むとわかりますよね。
人手不足を解消しようと、ロボット、IT投資をすると…それらがブーメランのように戻ってきて…自分を一撃するかもしれない…ということです!
お勤め人であれば、失業ということになりますし、経営者であれば、人材活用に腐心する必要がある…頭数さえいればいいという時代ではなくなる…ということです。
しかも、簡単には解雇…クビだ!とはできませんので、余剰となった人員の具体的な活用を考えなければならないということです。
「活用」というのは「生産性をあげる」と言う意味ですから、「なんでもいいからやらしておけ!」は、残念ながら「活用」ではありません…
そこで第3番目の「人材教育」の準備をしておくことが、どうしても必要だということです。
次回は、この人材育成について、なるべく会社の現場に引き寄せて、解説をしてみたいと思います。
(つづく)9月18日月は敬老の日で祝日ですので更新はお休みです。
※次回の更新は9月20日水を予定しています。
今日の記事ネタまとめ
①「202X年、人余り再び?(AI導入で省力化すすむ)」H29.8.26土 日経新聞