「職能給」は引き下げることができない。
ひとたび身についた「能力」は下がらないと裁判所も認めている!
ということを先回ご紹介しました。
ただし例外は存在し「就業規則」に職能給が下がることがあると書いてある場合には「降格」をすることができることがあります。
「職能給がさがる」といわずに「降格」という言葉がでてきました…
???
すこしむずかしいですね。
しかも…「できることがある」であって「できる」ではありません!
「職能給」をさげることができるのは、「就業規則に書いてある」だけでは不十分で「懲戒」にかけて「降格」するときぐらいだと思っておくこと!
おもいのほか時間がかかることだと理解しておくこと!
これがこの例外をおさえるポイントです!
なかなかハードルが高いですよね。
人事に関する会社の権限は、①人事権 ⇒ ②懲戒権 ⇒ ③解雇権 という順番で、深刻な影響力を発揮しますが、発揮できる条件も①②③の順序で厳しくなっています。
「職能給」を例外的に下げることができるのは、①人事権のみならず②懲戒権行使の条件をクリアーして「懲戒権」を発動できるときに限られるということです。
やはり、むずかしいですよね。
でも、会社の人の問題はお金の問題に直結することがたいへん多く、とてもデリケートで、きちんとした手続きを踏まないとルール違反の謗り(そしり)をすぐにうけてしまいます…
この知識を前提にして、もう一度記事をよんでみましょう。
「会社側から一方的に降格・減給させられ…」
「代理人弁護士によると、降格・減給の基準が就業規則などに明記されておらず…」
「ううん…」ですよね。
この方々がもし「異動」という事実だけで「降格・減給」されたのならば、①人事権のみで「降格・減給」をしたということになりますので、運用ルールに無理があると言わざるをえません。
また「就業規則」に明記されていないのであれば、会社にとって少し厳しい労働審判の争いになるかもしれない…というのが、この記事を読んだ印象です。
しかしながら、
会社側は「社員に対し、法律や就業規則に基づき適切な対応をしてきた」としていますので、あとは労働審判の行く末を見守るしかないということになります。
いずれにしても「しんどい」ですね…
カロリーがかかるわりには、会社にとって実りがあるかどうか…
でも、ことは後戻りできません。
先にすすめるのみです。
今日の記事ネタまとめ
①「「追い出し部屋」異動不当(アストラゼネカ 社員が労働審判)」H29.5.12金 日経新聞