[051]「内定率」は「だれが」調べたか?問題!

「内定」という言葉は、よく知られている言葉です。

就活の進捗を示す言葉で「内定出たよ!」「内定もらった!」「内定ゲット!イェィ!」など… 個人個人の感覚や感情とも、とてもなじみやすい言葉として使われていると思います。

学生や大学のみならず、会社経営にとって「雇用」はとても大切な繁栄のためのポイントですので、経営者の方々は採用には大きな関心をお持ちです。

そして「内定率」のお話をすることもあります。

さて、その「内定率」という「数字」は、どこのだれが調査しているのでしょうか?

そんなことにはあまり関心がなく…
新聞の見出しの「78.9%」等の数字を「ゴクリ!」と鵜呑む…

それでもおおむねの動向はつかめると思いますが、すこしもったいないですね…。

このたびは「内定率」は「だれが」調べたか問題について、解説をしてみたいと思います。

まずそもそも…

内定率とは「就職を希望する学生のうち、内定を取得した人の割合」(H29.6.10土 中日新聞)です。

「就職を希望する学生ってことは、ほぼ全員だよな!」と思った方…

すこーし、落ち着いて考えてみましょう…

文部科学省の学校基本調査によると、大学卒業者のうち就職も進学もしない人は、44,000人いるそうです。減少しているとはいえ、大学卒業生のうち7.8%にあたりますから、無視するわけにはいきません。

また「大学院や海外の大学などに進学」するひとは、67,700人(大学卒業生のうち11.9%)いるそうです。

これらを総合すると、大学を卒業したら働きたい!と思っている人は、10人中8人ぐらいということになります。

全体の20%が、就職しないということですから、もはや誤差ではありません。

つまり「内定率」とは、残りの80%の学生のことについて表した数字と言うことです。

では「内定率」だれが調べているか問題です。

「内定率」の調査には、①民間の調査と②行政の調査の二種類があります。

②の行政による調査は、あまり見かけません。
今年であれば3月に新聞掲載されたっきりです。

ということは… 途中経過のように「5月1日時点で34.8%」(H29.5.13土 日経)とか「6月1日時点の内定率(内々定を含む)は、63.4%」(H29.6.7水 日経)とか「採用面接などが解禁されたばかりの1日時点で61.0%だった」(H29.6.10土 中日)のような報道は、①の民間の調査ということになります。

注意深い方は、すでにお気づきかもしれませんが、先に引用した「6月1日時点の内定率(内々定を含む)は、63.4%」(H29.6.7水 日経)と「採用面接などが解禁されたばかりの1日時点で61.0%だった」(H29.6.10土 中日)は、ともに6月1日時点の内定率のことを言っているにも関わらず、微妙に数字が食い違っています。

これは調査する「民間」の会社が異なっているからです。

ちなみに「6月1日時点の内定率(内々定を含む)は、63.4%」(H29.6.7水 日経)は「ディスコ」が調査したもので、「採用面接などが解禁されたばかりの1日時点で61.0%だった」(H29.6.10土 中日)は「リクルートキャリア」が調査したものです。

今年の場合「内定率」という言葉の初出は、日経新聞、中日新聞ともにH29.5.13土です。

以後の「内定率」調査は、日経新聞では、リクルートキャリア、マイナビ、ディスコの3社の調査結果を、記事に応じて掲出しています。中日新聞は、今のところリクルートキャリアだけのようです。

この期間に、行政が調査した結果は1度も報道されていません。

すこ~し 「内定率」は誰が調べたか問題が見えてきました。

次回は、調査方法について解説してみたいと思います。

(つづく)

今日の記事ネタまとめ

①「18年大卒内定率78.9%(マイナビ調べ、7月末)」H29.8.9水 日経新聞
②「内定者つなぎ留めに汗(面接解禁1ヵ月 内定率78%)」H29.7.12水 日経新聞
③「来春卒業の学生就職内定率67%(民間調べ、昨年上回る)」H29.6.20火 日経新聞
④「内定率 解禁日に61%(来春大卒 企業、前のめり鮮明)」H29.6.10土 中日新聞
⑤「内定率 早くも63%(来春卒、1日時点 ミスマッチの懸念)」H29.6.7水 日経新聞
⑥「内定率 解禁前でも34%(民間調査 5月1日時点 9.8ポイント増)」H29.5.13土 中日新聞
⑦「すでに内定3人に1人(20.3ポイント上昇、就活早まる)」H29.5.13土 日経新聞
⑧「大卒内定率 最高の90.6%(2月時点、人手不足続く)」H29.3.18土 日経新聞
⑨「大卒就職内定率90.6%(6年連続で改善■同期比過去最高)H29.3.18土 中日新聞

2017年08月14日|ブログのカテゴリー:就活