先般「警備中の仮眠は労働時間」という記事をご紹介しましたが、この記事の10日後には、裁判所の判決ではありませんが、東京労働局がハイヤーの「待機時間」を「労働時間」として認定したという記事が掲載されていました。
すこし記事を引用しますと、
「2015年に病死した神奈川県のハイヤー運転手の男性(当時63)について、東京労働局が待機時間を「休憩」とみなして遺族の労災申請を退けた新宿労働基準監督署(東京)の決定を取り消し、労災と認めていたことが27日までに分かった。」としています。
この運転手さんは「社長の自宅前にとめていた社内で、心筋梗塞を発症して死亡した。」ということです。
「東京労働局は運転業務が早朝や深夜に及んでおり、社内や待機スペースで待つ間も移動先の下調べなどをしており労働時間とすべきだと指摘。死亡前の半年間は月平均約150時間の時間外労働をしていたと認定した。」
なるほど…ですよね。
じゃあ…
勤務時間に居眠りしている「美味しんぼ」の「山岡士郎」みたいな社員はどうなるのだ!ということですが、これについては、先の警備員の判決記事にすでに回答があります。
「警備員として勤務中に定められた仮眠時間は労働時間に当たる」
あらかじめ「定められた」というところがポイントですね。
したがって山岡士郎の居眠りは、あらかじめ「定められ」ていないので、アウトですね。
山岡さんは新聞社で月給制で働いていると思われますので、居眠りをしていたからといって、直ちにお給料が減らされるわけではありませんが、人事権に基づいて人事評定されることは間違いないでしょうね。
でも究極のメニューの仕事になくてはならない人物で…
すこし弱りましたね。
社員の数が増えてくると、かならずこのような社員が目立つようになります。
そのときのことをあらかじめ考えておくことは、ある程度社員数が多くなると、会社経営にとって大切なことだと思います。
ある程度の社員数とは、わたしの経験からだと、二十数名というところだと思います。
社長や管理職の目が、ひとり一人に行き届く限界人数が二十数名だということです。
さて…
サラリーマン時代のわたしは、あらかじめ「定めて」「移動中の新幹線では仮眠をする!」と宣言していたわけではありませんので、この理屈では「労働時間」にはなりそうもありません…。
不安は的中ですね…
山岡士郎的なことになっていたということでしょうか…
究極のメニューのような会社にとって重要な仕事にたぐいまれなる能力を発揮できないわたしは、ほんとうのダメ社員だったのでしょうか?
すこし納得できないものがあります!
そのときのわたしは「経営に近い」「管理職」でしたので「名ばかり管理職」ではなかったと思います。ということは…「労働時間」にならないとしても、労働基準法41条を盾にすれば、ただちにお咎めがあるというわけでもなさそうです。
じゃあ…出張して居眠りしているのが、管理職でなかったら…
こういうことは「あほらしい」と思わずに、あらかじめ理屈を通して考え抜いて、判例などを確認したり、顧問の先生に意見を聴くなどして、あらかじめ対処方法を定めておくことが、実はとても大切なことです。
(人事部長)「えー 本日の会議の議題はサボリーマンの生態についてだ!」
(人事課長)「出張移動中に居眠りをしたことのある者、挙手してください。」
(人事部長)「ほう…だれもおらんようだな…」
(出席者) ……
(人事部長)「では、仮にだ!仮定のはなしとして、居眠りをしていたらどう対処するかについて議論してほしい。」
「あほらし」そうに見えますが、すこし楽しそうです。
そしてとても大切なことです。
頑張りましょう!
今日の記事ネタまとめ
①「待機時間「休憩」は不当(運転手の労災、逆転認定 東京労働局)H29.5.28日 日経新聞
②「警備中の仮眠は労働時間(地裁、賃金支払い命じる)」H29.5.18木 日経新聞