「σ(゚∀゚ )オレは転籍した覚えがない!」
ここが重要なポイントです!と先回お伝えしました。
いまや会社分割はよくある話で、では具体的にどうすればよいか?が知りたいところです。
こんなことまで、実は新聞には普通に記事になっています!
私を含めて…新聞は注意して読むと、専門書やセミナーに負けないぐらいの価値があり「ため」になるのだとおもいます…
で!この手順スキームの具体的な指南は、平成29年7月10日(月)の日経新聞に載っていました!
1.労働者の理解と協力を得る努力をする!
(根拠=労働契約承継法7条)
2.労働者との協議をする!
(根拠=改正商法付則5条)
3.労働者・労働組合への正式通知をする!
(根拠=労働契約承継法2条)
4.異議申し出期間の設置をする!
(根拠=労働契約承継法4,5条)
5.株主総会で分割を正式決定する!
ふむふむと思い、この数字の順番に事をすすめればよいのですが…
なかなかのカロリーですね。
人ひとりの勤める会社を、会社の都合で変えようというのですから、ここで汗を流さないと、災いを呼び込んでしまいます。
頑張りどころですね。
特に、重要なのが2.の「労働者との協議をする!」で、特に「5条協議」と呼ばれています。
これは「協議をすれば同意までは必要とされない。」(H29.7.10 月 日経)ということですが、わたしの経験からすると、形式的なことはトラブルを呼びこみやすいので、誠意をもった話し合いがまあまあ必要だと思っておいたほうがよいでしょうね。
ここで、出向のそもそもに話を戻しますと…
「在籍出向」は「籍」はA社(元の会社)にあるので、「法人」を超えてB社で働いていますが「異動」するようなもので「帰任」する可能性はあると言えます。
それに対して「転籍出向」する(させる)ためには、これは「転職」みたいなものですので「入社」したときに「定年まで雇います」「はいお願いします」と約束したA社との労働契約を白紙にする必要があるということです。
約束を白紙にするということは、とても大きな重大な事ですので、あたりまえのことですが「いったん定年まで雇いますとお約束しましたが…それを白紙にもどして…転籍してもらえますか」「いいですよ」という「合意」がないと「転籍」したことにはなりません。
このことを念頭に今一度記事を読んでみましょう。
「湯川裁判長は判決理由で「会社は会社分割の大まかな説明をしたが、転籍の希望に関する個別の話し合いは不十分だった」と判断した。」
「転籍」の「合意」が「不十分」であり「無効」であるということです。
すこし、話し合いの… 5条協議のカロリーが足りない!と、裁判所にたしなめられたということですよね。
この判決を認めるとするならば…
いちおう「出向」の事実はありますのが「転籍出向」ではなく、「在籍出向」ということで、転籍した200人は「帰任」するのでしょうか。
人事経験者としては、200人が一時に帰任するとなるとめまいがします。
帰任受入部署の調整だけでなく、要員計画の見直し、総額人件費は200人分増加するので、経営計画まで見直しをする必要があるでしょうね…
人事がめまいするだけなら「凌(しの)げ」ばよいのですが、総額人件費や労働分配率が大きく変化すれば春闘や投資計画にも影響はさけられないと思います。
いずれにしても会社経営にとって「重い」判決になったのではないでしょうか。
事前によく考えれば、手はあったかもしれませんが、いまとなっては後の祭りです。
「こうなったからには!控訴だ!」でしょうか…
それは会社にとっても、人事部にとっても……(´Д`)ハァ…なオプションですよね…
やれやれとしかいえませんが…
頑張ってください… (´Д`)ハァ…
今日の記事ネタまとめ
①「新会社で解雇「転籍は無効」(東京地裁判決)」H29.3.29水 日経新聞
②「会社分割労働紛争を防ぐ(従業員と個別協議不可欠)」H29.7.10月 日経新聞