会社経営者の方々とお話をしていると、話題がパワハラのことになることがよくあります。
それなりに経営者の立場でも関心が高いと感じます。
パワハラというと、上司が部下に対してパワハラをする…というのがよくある関係だと思いますが、この裁判で訴えらえたのは法人である会社そのものとともに「先輩の女性社員二人」となっています。
「先輩⇒後輩」の関係でも「パワハラ」を「裁判所」が認めたということです。
「パワハラ」とは何を指しているのか、「パワハラ」についての法律的な観点はなにか、「パワハラ」に対処するためにはどうしたらよいのか…などについての研修は、とても関心が高く、会場が人事担当者や責任者で満員になっています。
そのような「研修」で知識を身につけることは、とても大切だと思います。
その知識は人事担当者が会社に持ち帰り、まずは管理職に周知されるのでしょうか。
会社の生産性を確保しながら、労務リスクを減らしていく…
これは定石ですね。
しかし…
この段階ではまだ安心ができないとしているのが、この判決です。
課長は言動に注意し、常に業務上の事案に留意し、人格否定はもってのほか、部下には言いっぱなしではなく、解決の道筋まで…とレベルを上げているにもかかわらず、腹心の部下がパワハラ認定を裁判所から受けるかもしれない…
ということです。
管理職をおさえるだけでは足りず、組織的な仕組みを考える段階にあることを、この判決は示唆しているような印象を受けます。
昭和の時代の「モーレツ」はすでにはるか遠く、上司と部下の関係は変わってきています。
昭和の高度成長の時代には「モーレツ」先輩のまねをしていれば、成績がかなりの確率で上がっていた時代でした。
全体のパイが高度経済成長しているのですからね!
「ほら!おれの言ったとおりだろ!」と少し厳しい指導をした先輩も、成果で報いることができた時代だったのかもしれません。
いまは先輩の言ったとおりに仕事をしたとしても、必ずしも成果があがる環境ではなくなっていると思います。
それゆえ成果があがらない本人はストレスとかかえ、成果で報いることができない先輩はイライラが募る…
職場はストレスが高まるばかりです。
そのようなときには個人の力に頼るばかりではなく、組織の力を頼りにすることも大切だと思います。
組織の力を頼りにするとは、仕組みや制度を見直すということです。
そのためには会社の行く末をはっきりさせる必要があるかもしれません。
もし明文化されていなければ、仕組みや制度を、文字にするところからはじめないといけません。
かなりカロリーを必要とする「事業」になるはずですが、
労務リスクは減少するはずですし、生産性の向上も目論めるかもしれません。
「リスクは迎え撃つ!」
これはスタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授が著書の「計画された偶発性理論」で、チャンスをつかむための5つの姿勢としてのべた中のひとつです。
リスクは最初のうちは対処療法でなんとかしてもよいと思います。
しかし…職場のストレスレベルは、その段階をすでに通り過ぎつつあるのかもしれません。
すこし面倒で、重い仕事を、まだ起こっていないうちから、勇気をもってしなければならないということだと思います。
今日の記事ネタまとめ
①「自殺と因果関係認めず(名地裁 職場先輩パワハラ認定)」H29.1.28土 中日新聞