[047](判決)妊娠退職「合意なく無効」(日経新聞)

手荒なまねはしないから、おとなしくしろ!
こんなセリフが昭和のドラマではよく使われていたような気がします。

ドラマを見ているときは「あほらし」「こんなやつテレビだけだよなぁ」とのん気に番組を楽しんでいたのですが、「うら」の意味は「手荒なまねをしたら、だまっていない!」ということですよね。

高校1年の数学で「対偶」とか「逆」とか「裏」とかやったことをおぼえていませんか?

「手荒なまねはしないから、おとなしくしろ!」の論理の「うら」は、「手荒なまねをしたら、だまっていない!」になります。

???

むずかしいですか?
ここは、まあまあいいことにして通り過ぎましょうか…

それよりも、記事に書かれてあることを読んでみましょう。

妊娠を理由に合意なく退職させられたとして…未払い賃金などを請求した訴訟の判決が…未払い賃金と慰謝料約250万円の支払いを命じた。」という記事に注目です。

「250万円の支払い」というのは会社にとって、結構響く金額です。
例えば利益率10%の会社だとすると、2500万円の売り上げがないと用意できないマネーです。この支払いはエクストラ特別損失みたいなことになると思われますので、ここで言う「利益率」は「営業利益」でも「経常利益」でもなく「純利益」から、さらに「エクストラ」な「特別損失」が、さらに差し引かれると思ったほうがよいかもしれません。

純利益率10%はなかなかのものですよね…。5%でも業態によっては、優秀だったりします…

純利益率が10%より少なければ、用意しなければならない「売上」はさらに多くなります。

では、この「結構響く金額」をどうして支払わなければならなくなったのでしょうか?
もう少し記事を読み進んでみたいと思います。

女性は2015年1月に妊娠が判明。女性は職場が遠いとして休み、別の職場を希望した…」となっています。

人事部労務経験者としては、この部分だけで「うーん…」と重苦しい空気を感じてしまいます。

この女性が有給休暇を使って休んでいたのか、無断欠勤をしていたのか、どのような「休み」であったのか、この記事だけでははっきりしませんが、とにかく「休」んでいた…。

そして「別の職場を希望した」事実。
適当な「別の職場」があったかどうか、これもこの記事だけでははっきりしません。

いずれにしても、慎重に事をすすめる大切な場面であることは確かです!

ところが!です。記事には…こんなことが書いてありました。

約4か月後に建設会社から「退職扱いになっている」との連絡を受けた。

これはどういうことでしょうか?

会社側は関連企業で就業した時点で退職に合意していたと主張」となっています…

くわしいことが記事からはわからないので、断言はできませんが、

すこし…無理があるかもしれません…

ふたつの会社に同時に就職することも可能だからです。
かけもちでアルバイトをしたことがありませんか?
それは複数の会社でアルバイトしていたということですよね。

二つ目のアルバイトを開始したら、最初のバイトはクビになる…なんてことはありません。

新聞記事にはありませんでしたが、ネット情報ではありますが、派遣会社に登録をすすめられ、就業もしたが、退職届も出しておらず退職の認識がなかった…本人は別の部署で勤務するぐらいの気持ちだったということみたいです。

ことがよじれてこじれている様子が、人事経験者にはなんともわかる気になります…

会社にどのような事情があったのか、残念ながらわかりませんが、記事を読むかぎり「手荒なまね」をしたと思われたので「だまって」いなかったという「絵」になっているということでしょうか。

コツコツ時間をかけて慎重にする!

これが基本動作です!
すこし物足りないようですが、基本は大切です。

基本動作が少し足りなかった… ただそれだけで、特別損失250万円となったとするならば、とても痛い(>_<)キャッシュアウトになります…

急がば回れでしょうか?
急いては事を仕損じるでしょうか?

この記事だけでは、よくわかりませんが…
他に急ぐ理由があったのかもしれません…

今日の記事ネタまとめ

①「妊娠退職「合意なく無効」(東京地裁支部)」H29.2.3金 日経新聞

2017年08月02日|ブログのカテゴリー:判決