[044](判決)メトロコマース事件……②(日経新聞)

メトロコマース事件は、小さな記事でした。
しかし!注目の裁判例になっている!
なぜなら…政府が推し進めたい「同一労働同一賃金」の解釈をめぐる判決だからだ!

というお話を前回しました。

さて…その小さな紙面には、判決理由がこのように書かれていました。

売店で働く正社員は一部に限られ、契約社員とは業務内容や責任の程度、配置転換の有無が異なる

いまは地下鉄売店で正社員も契約社員も一緒に働いている人もいるけど、正社員全体から見たら「一部」だよねぇ。正社員は異動があるけど、契約社員にはないからね… とまあこんな感じでしょうか。

さらに「長期雇用を前提に、正社員の賃金や福利厚生を手厚くする会社の判断には合理性がある」としています。

「メトロコマース」を訴えた人が根拠としたのは「労働契約法第20条」でした。

労働契約法20条とは、
期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止
これを定めた法律です。

地下鉄売店で、同じ仕事をしているなら、正社員であろうと契約社員でもお給料はいっしょでしょ!という訴えには、一理ありそうです…。

ただし条文の中には「労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。」としています。

まさにここですよね。
「業務の内容」がいまは同じだけど、
「責任の程度」「職務の内容」「配置の変更」がちがうので、「不合理」とは言えない…

正社員はやがて転勤をして「職務の内容」や「配置の変更」がある前提なのに、契約社員にはそのような前提がない…
そのような人材活用を前提とする正社員は契約社員とは「責任の程度」が違う…ということになります。

「メトロコマース」のようなケースでなくとも、定年退職後間を置かずに「嘱託」として継続雇用されることはよくあることです。

でも仕事の内容は定年前と同じなのに、給料だけがバイト並み!
なんだかもやもやする!というのは、とてもよくみかけるケースです。

わたしも人事部サラリーマンのころには、定年を迎えた先輩方をたくさん嘱託にアテンドしました。

たしかに、定年後の仕事の内容のセッティングには苦労しました…

このようなグレーゾーンの拠り所が、今までは労契法だけだったのですが、ここに東京地裁の「裁判例」が加わったというところが、注目される理由です。

この判決について、原告は控訴の意向ですので、今後の動向に注目です!

と言って、メトロコマース事件の話題は終わりにしたいところなのですが…

この判決には、実はまだ続きがあるのです!

ええ?まだ…あるの?
またまた、気になりますよね。
それとも、もうつかれましたか?

最後まで書かないと、わたしがもやもやしますので、是非もうすこしお付き合いください…

次回そのことについて、解説してみたいと思います。

(つづく…)

今日の記事ネタまとめ

①「正社員と賃金差「不合理でない」」(メトロ契約社員訴訟判決)」H29.3.24金 日経新聞

2017年07月26日|ブログのカテゴリー:判決