前々回、前回と「うそ」のように賃金絡みの記事が読めるようになったので、調子に乗ってもうひとつ記事を読んでみたいと思います。
では、早速!
H29.6.6火曜日 日経新聞 夕刊の記事見出しです。
「実質賃金 横ばい」
むむむ… 「実質賃金」ってなんだったっけ???
調子にのった気持ちに、水を差すような言葉…「実質賃金」。
「実質」は軽く考えて、なんとなく「実質賃金」=「賃金」とおもったらいいんじゃね?
と…いうわけにはいきません!
第39回の「公式」を思い出すしかありませんね。
給与=給料+残業代+ボーナス … ①式
給与の本当の価値(実質賃金)
=給与 ― 物価の値上がり分 … ②式
そうです!この②式をつかいます。
ということは…
横ばいしているのは「ⒶⒷⒸⒹⒺⒻ - 物価の値上がり分」の額ということになります。
そんなにむずかしくありませんね。
もう一度「あの」表を見てみましょう!
つまり、正社員もパートも全部ひっくるめて計算した「賃金」の「真の姿」が「横ばい」しているということです。
「横ばい」というのはあまりいいイメージの言葉には思えませんが、この記事ではむしろいいイメージの言葉として使われています。
というと?という感じですよね。
憶えているでしょうか?
第41回で取り上げた「賃金増 パート先行(3月、正社員は勢い欠く)」日経新聞 H29.5.10水時点の記事では「ⒶⒷⒸ vs ⒹⒺⒻ の勝負の行く末はよくわからない…」としていたものが、この度のH29.6.6火曜日の記事では「マイナスから持ち直し」「横ばい」になったと言っています!
明るい記事です!
日本全体のお給料を全部足した額が増える兆候を見せていると言うことですから。
回復傾向と読んでもいいようですね。
記事を読み進めると、
「1人あたりの名目賃金にあたる現金給与総額は27万5321円で前年同月比で0.5%増えた。」ⒶⒷⒸⒹⒺⒻ
「正社員の増加が賃金を下支えしている」ⒶⒷⒸの人数
「正規社員を含むフルタイム労働者の増加が賃金増に寄与した。」ⒶⒷⒸの人数
どうでしょうか。
さくさくとはいかないまでも、読め始めたのではないでしょうか。
同様の記事が中日新聞H29.6.7水朝刊にも掲載されています。
「基本給や残業代などを合計した一人当たりの現金給与総額は、前年同月比0.5%増の二十七万五千三百二十一円で、二カ月ぶりに増加した。」ⒶⒷⒸⒹⒺⒻ
「厚労省は「正社員などの一般労働者が2.9%増加し、賃金が低いパートタイムの割合が下がったことが、一人当たりの給与総額を押し上げた」とみている」ⒶⒷⒸ vs ⒹⒺⒻ
「基本給などの所定給与は、0.4%増の二十四万三千七百七円」ⒶⒹ
「残業代などの所定外給与は0.2%減の二万三百八十三円」ⒷⒺ
「ボーナスなど特別に支払われた給与は5.6%増の一万一千二百二十一円だった。」ⒸⒻ
この調子ならば、新たな記事にも余裕をもって対応できるはずです。
頑張りましょう!
これら賃金の統計でたびたび登場するのが「毎月勤労統計調査」通称:マイキン
です。
パソコンのことを70年代後半には「マイコン」と呼んでいたことを思い出しますね…w
え?なにそれ?そうですか…では、それはさておきましょう…
このマイキン、社長さんにとってはいやがらせのような気分になっているかもしれません。
なにせ毎月毎月書類を出せ…いえいえ出してくださいということですから…
「どうしてうちだけ協力しなければならないんだ!」「人手不足で忙しいのに!」「エクセルだと楽だろって、ファイルをDLしたけど…(都道府県によっては集計エクセルがダウンロードできます。)それでもめんどうなんだよ!」と目の敵にされているのだと思います。
しかしながらそれらの努力によって、厚生労働省で集計され「速報値」と「確定値」になり、新聞記事になるのです。そして、新聞記事になって、読み方がわかれば経営に使える数字になります!
せっかく面倒なことをしているのに、
賃金の記事の読み方がわからないと損ですよね。
読み方のコツをおさえて、新聞の記事をわがものにしたいものです。
トレンドを理解したら、こっちのものです!
面倒で難しいことは社労士がご協力することもできます。
頑張りましょう!
今日の記事ネタまとめ
①「実質賃金 横ばい(4月、正社員増が寄与)」H29.6.6火 日経新聞 夕刊
②「4月の給与総額 2カ月ぶり増加」H29.6.7水 中日新聞