[034] 残業規制の「抜け道」具体例…③

このたび検討されている「残業規制」では「残業」の上限が100時間未満になったことが、大きな話題になりました。

またこの100時間をめぐって「1秒論争」がありました。
「100時間以内」とするのか「100時間未満」にするのかということです…

3/14の中日新聞には「残業規制 働きすぎ抑制に課題」として「政府関係者 「99時間99分59秒働ける」」というすこし辛めな見出しをつけています。




結局「100時間未満」で今のところ決着していますが、ここ以外の数字は45時間「以内」、80時間「以内」ですので、ますます管理がややこしくなってしまいますね…

やれやれです…

先般これら残業規制には「抜け道」があって「残業720時間(休出含まず)」と表向きなっているが、休日出勤を含めると「残業960時間(休出含む)」まで可能だということを解説しました。

しかし…
この「100時間未満」の月があると、上限だったはずの「960時間(休出含む)」まで残業ができなくなる現象が発生するのです。

例示した先ほどのグラフでも「総合計(時間外+休日)=940時間」となって、960時間には20時間分少なくなっています。

またこの例では「時間外のみ(休日除く)」についても、最大720時間であったものが、705時間が限界になっています。

これは「どの連続する2カ月から6カ月を平均しても80時間以内」というルールがあるためです。

「どの連続する2カ月から6カ月」というのは、例えば2カ月であれば「1月と2月」「2月と3月」「3月と4月」… という平均です。

3カ月であれば「1月と2月と3月」「2月と3月と4月」「3月と4月と5月」… ということです。

この例で説明すると、6月がおおむね100時間ですから「5月と6月」と「6月と7月」の平均が80時間以内になる必要があります。

したがって、5月と6月は60(45+15)時間以内でなければならないということになります。(100+60)÷2 = 80

確かに100時間未満まで残業が許容されたということですが、前後の月に60時間以内の規制がかかる。そして総合計時間にも規制がかかるという仕組みになります。

これらの残業はあらかじめ決められているわけではありません。この例のように100時間未満が発生する6月の前月に首尾よく60時間以内残業になっているということが、現実的にどのぐらいあるかは、その都度判断することになると思います。

時間管理にいままで以上に神経を使うことは間違いなさそうです。
管理職のみなさんが頑張るしかないのでしょうか…

むずかしいな、めんどうだなと思う時は、わたしがお手伝いしたいと思います。^^/

2017年06月30日|ブログのカテゴリー:残業規制