[033] 残業規制の「抜け道」具体例…②

前回ご紹介した「抜け道」例は、休日を含まない45時間を超える「残業」が1年間の前半に集中しているパターンでした。

このように季節で繁忙期が訪れる仕事はよくあることだと思いますが、業態によっては、年間に何度か繁忙期を迎える会社もあると思います。

すこし「紺色」の「A残業」月を年間に散らばせてみたのが、次の例になります。


「紺色(A残業)」「時間外」が散らばっていても「残業」に関する性質は、基本的にかわりません。

ごらんのとおり、休日労働を除く「残業」は720時間が限度。
休日労働までを含んだ「残業」時間の年間総合計は、あいかわらず960時間です。

こちらも「ふむふむ」「理屈はわかった」と納得いただけると思うのですが、現実的に考えると、すこしおかしなことに気が付きます。

「オレ、今日残業だ~ 帰れねぇ~」
これは「残業」のなかでも、「時間外労働」(「薄い青色」と「紺色」の部分)のことです。

「休日返上でやらねば…」
これは「休日労働」(「オレンジ色」の部分)のことです。

「時間外労働」は平日に発生することがおおく、「休日労働」は文字通り休日に発生します。

年中無休というようなサービス業などでは「時間外労働」と「休日労働」の差はあまり感じられないかもしれませんが、平日の「時間外労働」と「休日労働」で、それぞれ仕事の性質が違う会社も少なくはないと思います。

取引先や流通の都合で、どうしても性質が同じにできない場合もありますし、平日は外出していてできなかった伝票整理を休日出勤で片付けるというのはよくあることです。

ところが…
さきほどのグラフは、平日の「時間外」で終わらなかった仕事が「休日」にできる、平日にできることは休日にもできるはず!という理屈が前提となっています。

すこし乱暴ですが、例えば取引先への外出は、休日でもかわらずにできるということです。

それは… すこし無理がありますよね。

業種業態によって、これらの業務の性質は、おおいに違いがあるところだと思います。
それらの違いを把握して、平日「残業」と休日「残業」を効率よく使い分ける必要があるということになります。

数字になると同じように見える「残業」を「時間外」と「休日」にわけて管理することは、とても神経を使う仕事になります。それらの仕事は、おおくの場合、管理職の方々の仕事になるのではないでしょうか…

残業規制が施行されたならば、さらに負担が増加するかもしれません。

「頑張りましょう!」の精神論では、そのうち限界となると思います。

新聞報道によると、残業規制は2019年度に施行される可能性があります。
管理職の方々にとって、これら残業規制について理解を深め、管理能力を高めておくことは、もちろん必要ですが、さらに、会社としてそもそもの仕事の組み立て方に作戦を練る必要があるのかもしれません。

(つづく)

2017年06月28日|ブログのカテゴリー:残業規制