前回は、これから法律となる可能性がとても高い「残業規制」の「抜け道」について、解説をしました。
今回はその解説を具体的な例を使ってご紹介します。
前回「残業規制」には4つのルールがあると申し上げました。
①「残業」は、年間720時間
②「残業」は、月45時間超えは年間6回まで
③「残業」は、単月100時間未満
④「残業」は、6カ月までの平均80時間
①②は 「休日労働」を含まない「残業」でした。
③④は 「休日労働」を含む「残業」でした。
これら①②③④のいずれの条件もクリアーしていれば、合法ということです。
つぎのグラフは、これら合法条件をいずれも満たしています。
しかも残業時間が規定「めいっぱい」になるパターンです。
グラフ色分けの意味は、次の通りです。
「薄い青色」 =「45時間」以内の「残業」(休日出勤なし)
「紺色」 =「45時間」を超える「A残業」(休日出勤なし)
「45時間」以内/超で区別するのは、理由があるのですが、ここではまあそんな感じにするのだ…くらいで、あえて通り過ぎてください。
でも、いちおう区別しているので45時間を超える時間を「A残業」と呼ぶことにしましょう。
ふつうの45時間以内の残業は単なる「残業」ということにしましょう。
「オレンジ色」=休日に出勤した時間です。
さて、準備はよいでしょうか。
この色分けが①②③④の条件をクリアーしているか、確かめてみましょう!
①「薄い青色」の部分と「紺色」の部分が、720時間以内になっていればOKです。
②「45時間」を超える「紺色」は、12カ月のうち6回までであればOKです。
③「すべての色」の合計が80時間以内であれば③はノーチェックでOKです。
④「すべての色」の合計の平均が、どの月の平均でも80時間以内であればOKです。
①②③④の4条件、すべてOKですね!
したがって…この「残業」は合法です!
(本当は手続きが必要ですが、まあ細かいことはあとまわしです…)
これが「抜け道」の具体例です。
新聞報道には「残業720時間」という数字をよく見かけますが、それは休日労働を含まない「残業」=「時間外労働」のことです。
このグラフを見ると「合法」であるにもかかわらず、年間960時間までの「残業」が合法的に可能だとわかると思います。
あくまでも理屈の上でのはなしです…
(つづく)