[032] 残業規制の「抜け道」具体例…①

前回は、これから法律となる可能性がとても高い「残業規制」の「抜け道」について、解説をしました。

今回はその解説を具体的な例を使ってご紹介します。

前回「残業規制」には4つのルールがあると申し上げました。

①「残業」は、年間720時間
②「残業」は、月45時間超えは年間6回まで
③「残業」は、単月100時間未満
④「残業」は、6カ月までの平均80時間

①②は 「休日労働」を含まない「残業」でした。
③④は 「休日労働」を含む「残業」でした。

これら①②③④のいずれの条件もクリアーしていれば、合法ということです。

つぎのグラフは、これら合法条件をいずれも満たしています。
しかも残業時間が規定「めいっぱい」になるパターンです。



グラフ色分けの意味は、次の通りです。

「薄い青色」 =「45時間」以内の「残業」(休日出勤なし)
「紺色」   =「45時間」を超える「A残業」(休日出勤なし)

「45時間」以内/超で区別するのは、理由があるのですが、ここではまあそんな感じにするのだ…くらいで、あえて通り過ぎてください。

でも、いちおう区別しているので45時間を超える時間を「A残業」と呼ぶことにしましょう。
ふつうの45時間以内の残業は単なる「残業」ということにしましょう。

「オレンジ色」=休日に出勤した時間です。

さて、準備はよいでしょうか。
この色分けが①②③④の条件をクリアーしているか、確かめてみましょう!

①「薄い青色」の部分と「紺色」の部分が、720時間以内になっていればOKです。
②「45時間」を超える「紺色」は、12カ月のうち6回までであればOKです。
③「すべての色」の合計が80時間以内であれば③はノーチェックでOKです。
④「すべての色」の合計の平均が、どの月の平均でも80時間以内であればOKです。

①②③④の4条件、すべてOKですね!
したがって…この「残業」は合法です!
(本当は手続きが必要ですが、まあ細かいことはあとまわしです…)

これが「抜け道」の具体例です。

新聞報道には「残業720時間」という数字をよく見かけますが、それは休日労働を含まない「残業」=「時間外労働」のことです。

このグラフを見ると「合法」であるにもかかわらず、年間960時間までの「残業」が合法的に可能だとわかると思います。

あくまでも理屈の上でのはなしです…

(つづく)

2017年06月26日|ブログのカテゴリー:残業規制