[027] “生産性”がよくわからない…

「“生産性”という言葉を、よく見かけるようになりました…」というのはウソです。

「え?ほんと?」

そう思われる方がいらっしゃるかもしれません。

“生産性”という言葉は、なかなかインパクトがありますし、「やらねば…」という気にもなります。
それに… 耳障り良い言葉でもあります。

なにせ… 生み出す!という前向きな言葉ですから…

しかし!新聞記事を見渡す限り、“生産性”という言葉は、そんなに使われているわけではありません。

この約3カ月の新聞記事の「見出し」に“生産性”の文字を認めるのは、ざっとひろったところでは、たったの2件です。日経新聞と中日新聞の2紙を通して、とても少ない数です。

むろんわたしの新聞整理は、労働系と社会保険系など専門分野に軸足をおいていますので、網羅的に2件ではないと思いますが、まあまあ20件も30件もないことは確かだと思います。

「生産性」向上に投資 8割 H29.3.9木(日経新聞)
労働「生産性」高い銘柄堅調 H29.2.21火(日経新聞)

では、見出しにはそんなに見かけないとして、「記事の中」の言葉としてはどうでしょうか。
これをざっと拾いますと、網羅性はないかもしれませんが、コラムを除いて、4月までの半年間で9件しか見当たりませんでした。

“…人手不足や生産性の改善に対応する。”H29.4.18火(日経夕刊「パソナ、事務の自動化支援」)
“…生産性向上の足かせに…”H29.4.11火(日経「イオンが食品加工ロボ」)
“…中小企業の生産性向上を後押しするため…”H29.4.25火(日経「中小融資 助成とセット」)
“…働き方改革や、生産性向上も重点項目…”H29.4.25火(日経「支店評価 顧客満足度で」)
“…労働生産性も議論は深まらず…”H29.4.2.日(日経「「100時間」論争 堂々巡り」)
“…生産性向上や成長底上げには力不足の面もあり…”H29.3.29水(日経「働き方改革へ実行計画」)
“上限規制だけでは生産性向上になりにくい。”H29.3.14火(日経「実効性確保へ罰則」)
“生産性が向上しない中で残業上限を強化するだけでは…” (日経「働き方と成長 両立課題」)
“工場やオフィスの生産性を上げるため…”H29.2.15水(日経「働き方と成長 両立課題」)

“生産性”という言葉の強さとか重みと違って、出現回数が思いのほか低いことに、日ごろ抱いている“生産性”という言葉のイメージとのギャップをすこし感じます。

では“生産性”という言葉が重要でないかというと、そうでもなさそうです。

雇用保険は、個人に対して、失業したときにお給料の半分から8割程度が一定期間支給される、俗にいう「失業保険」が有名ですが、会社に対しても、一定の条件を満たせば、お金を支給しています。

これを雇用関係助成金といいます。

とにかく会社にお金が支給されるということです。
ともかく「助成金」ですよね。

この「助成金」の支給条件や増額条件に“生産性”がセットされているケースが実に多いのです。

平成29年度の「助成金」の種類は68種類あります。
このうちの半分以上に“生産性”要件がセットされています。

そして“生産性”の具体的な数字目標のおおくは、年間2%にセットされています。
日銀や政府が目標とする消費者物価上昇率も2%です。
偶然にしては、とてもよく一致しています…。

ともかく… “生産性”そのものの実態が新聞記事になることは少なく、記事の中に見つけたとしても「たら、れば」の文脈です。残念ながら具体的なものはあまり見かけることはないという事実。

しかし… 助成金の世界では、どうやら“生産性”は会社の業績や財政と結びついた具体的で、現実的な重要なポイントになっているということです。

“生産性”は、会社にとってとても身近で大切な“数字”と言えると思います。

2017年06月14日|ブログのカテゴリー:生産性向上