「厚生労働省は会社員らが入る厚生年金について、一定額以上の収入がある場合、70歳以上も加入して保険料の支払いを義務付ける検討に入る。」H31.4.16火 日経1面
前回は「健康保険」について、特に「健保組合」と「国保」の財政調整について解説をしましたが、このたびは「年金」カテゴリーの話です。
このようなチャートが記事には掲載されていました。
一番上の「高齢者雇用」とは、年金がもらえる65歳までは働く環境を企業が整備する施策で、前回の「健保組合」「国保」問題とおおいにかかわりがあるものでした。
この記事の施策は、その下の第2レーンです。
「現行制度では月額賃金が8.8万円以上の人が厚生年金への加入が義務つけられている。一度リタイアした後に再び働き始めた場合も、改めて厚生年金に加入して保険料を支払う必要がある。」同記事
仕組みとしてはここに書かれてある通りなのですが、
補足をするならば、
保険料を支払って厚生年金に加入できるのは「70歳が限界」なのです。
正確に申し上げますと「70歳に達したとき」までしか厚生年金に加入できません。
別の言い方をすると厚生年金の額を増やせるのは「70歳の誕生日の前日」までが「限界」ということです。
わたしの誕生日は1月21日ですので、69歳と365日目の1月20日までは厚生年金に加入していられますが、1月21日にはもはや厚生年金に加入できない(資格喪失)=厚生年金を増やせないということです。
それを‼ オーバー70へ延長しましょう‼
70歳になっても、厚生年金に加入できるぐらいフルタイム的に働いて、さらに‼年金額を増やしましょう‼というのが、このたびの改革案なのです。
「健康寿命が長くなり、働く高齢者は増えている。総務省の18年の労働力調査によると、70~74歳の役員を除いた雇用者は129万人おり、75歳以上も53万人いる。」同記事
平成30年10月時点での外国人雇用者数が146万人ですので、70歳以上のお勤め人の方がさらに36万人多いということになります。
「内閣府の調査では仕事をしている高齢者の約4割が『働けるうちはいつまでも』と答える。長生きに備えて、健康のうちは一定時間以上働く高齢者にとっては、加入期間の延長によるメリットは大きくなる。」同記事
いつまで働くのか、自分にとって働くとは?というテーマがクローズアップされそうな勢いです。
「16年10月に適用の基準が緩和され、従業員501人以上の企業では週20時間以上で月額賃金8.8万円以上などの条件を満たせば厚生年金に加入しなければならない。」同記事
「月額の賃金8.8万円」=88,000円
現在の厚生年金の保険料率=18.3%
(会社と折半)
計算式にするとこのようになります。
88,000×18.3%=16,104円
16,104円÷2=8,052円
つまり本人的には8,052円の保険料を払う必要があるということです。
ちなみに…
現在の国民年金のひと月の保険料=16,900円です。
60歳までならば、厚生年金に加入していれば(なんと‼)国民年金の分もまとめて支払ったことになるルールがあります。
つまり、国民年金にだけ加入するのに比べると、半分以下の保険料で国民年金の分のみならず厚生年金の分まで受給が期待できる‼という大きなメリットがあります。
ところが、60歳を超えた場合にはそうはいきません。
もはや厚生年金部分しか増えません…
この8,052円をどう理解するか…
これからの課題になりそうです。
高いのか?安いのか?