[229] 変革の時代、新風を 一斉に入社式(日経新聞)

例年4月1日の夕刊や翌日2日の朝刊には、例年大手企業の入社式の様子が大きく報道されるのですが、今年は様子が違いました。

新元号「令和」の発表が4月1日の午前11時半から予定されていたからです。

この日は午後からネットも新聞も「令和」の話題や記事でもちきりでした。

私は昔使っていたワンセグ携帯を持ち出して、新元号発表の瞬間を事務所で見ようと目論んでいたのですが、事務所のビルの電波状態があまりよろしくなく、近くの公園の木陰まで出向いて、地デジ電波をつかまえて「その瞬間」を目撃しました。

そんな自由なふるまいをしている私とは別に…おおくの新入社員のみなさんは4月1日の11時半には、ちょうど入社式の真っ最中だったのだと思います。

パナソニックの入社式で津賀社長の訓示を聞く新入社員(1日午前、大阪府枚方市)」H31.4.1月 日経夕刊3面 総合

このようなキャプションと同時に新入社員がずらりとならんで座っている写真が掲出されていました。

どの新入社員も神妙な顔つきをしています。

初々しい(ウイウイシイ)とはこのことです‼

ところがこの記事…

写真を合わせても3段5分の1ぐらいの大きさのつましい記事でした。

例年、大手企業の入社式を新聞社は大々的にとりあげますので、

翌日の朝刊‼にはお約束の入社式の記事があるはず‼

このように考えていたおり、実際に関連記事が掲載されたのですが…

内容がいつもの年とはすこしトーンが異なっていました。

三菱UFJ銀行は2020年春の新卒採用数を530人と、前年比で45%減らす方針を固めた。銀行業のデジタル化が加速する中、支店の窓口などに人を多く配置してきた銀行員の働き方が大きく変わってきている。」H31.4.2火 日経11面 金融経済

ずいぶん辛口です…

平成から令和に改元される今年は働き方改革の年でもあります。

4月1日から働き方関連法と外国人受け入れに関する出入国管理法が改正されました。

「新人頑張れよ‼」ではすまされない流れが始まっているということでしょうか?

定型的な業務を自動化する『RPA』(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入し、少ない人数で機動的に業務を回せるようにする。」同記事

先日銀行に固定資産税を納付に出向くと、人のいる窓口ではなく納税専用のATMのようなマシーンに誘導されました。市町村から送付された横長3連の納付書をマシーンに吸い込ませると、金額を読み取り支払いを求めてくる仕組みになっていました。

次に指示された通り現金をスロットに吸い込ませると、先ほど吸い込ませた納付書が写メに撮られ、A4用紙に印刷された「払込領収書(お取引明細書)」が発行されて、納税の手続きは完了しました。

窓口で番号札をもって、待たなくてよいので、大変都合がよいと感じました。

これがRPAの一端なのかもしれません。

一方で全体の経費率を下げ、低金利が続く厳しい経営環境を乗り切る狙いもある。」同記事

採用を抑えて人を減らし、業務はマシーンにやらせる。
そして来るべき時のために、人員を減らして雌伏する。

まるでSF映画の人工冬眠(コールドスリープ)を見るかのようです。


映画「2001年宇宙の旅」では、木星に向かうディスカバリー号の中で人工冬眠をしていたほとんどの乗組員は、反乱を起こしたコンピュータHAL9000によって、眠ったまま抹殺されてしまいます。

映画「エイリアン」では、首尾よく人工冬眠からクルーが目覚めるのですが、そのあと望まない異星生物(エイリアン)との死闘が開始されます。

映画「マトリックス」では、人工冬眠状態から目覚めた主人公(ネオ)は “仮想空間(マトリックス)”での生活を現実だと思い込んでいた自らの出自を知り、衝撃を受けます。

わたしの知っているSF映画では…

人工冬眠から目覚めたあとには、すこしカロリーの高い物語がお約束のように用意されています。

さて銀行業は、どのような目覚めを迎えようとしているのでしょうか。

新しい時代の到来とは、望むべきものと同時に望まないものも、予期するものも予期しないものも、いずれも到来する…という意味もあるのだと思います。

映画のように、そこから物語がはじまるのかもしれません。

2019年04月16日