「長時間労働と急性心筋梗塞の関係を指摘した日本での本格的な調査は初めて。」H31.3.18月 日経夕刊8面 社会・スポーツ
いまさら????
残業続きでついに‼心臓発作を起こした‼
こういうのはすでに統計的にも因果関係が科学的に確立されているものだと思い込んでいました。
「長時間労働と急性心筋梗塞の関係」と言われても「いまさら感」がぬぐえません…
たしか過労死が労災だと認定される基準が確立されているはずですので、やにわに‼厚生労働省のHPにアクセスして、調べてみることにしました。
なにか手掛かりがあるかもしれません。
カラーのリーフレットがPDF化されてHPに掲出してあります。
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/dl/040325-11.pdf
そのリーフレットをすこし注意深く読んでみることにしましょう。
「脳・心臓疾患は、その発症の基礎となる動脈硬化、動脈瘤などの血管病変等が、主に加齢、食生活、生活環境等の日常生活による諸要因や遺伝等による要因により形成され、それが徐々に進行及び増悪して、あるとき突然には発症するものです。」脳・心臓疾患の労災認定 「過労死」と労災保険 厚生労働省 都道府県労働局 労働基準監督署
これは「脳・心臓疾患の認定基準とは?」というタイトルのページの「基本的考え方」に記載されている文章です。
ここにはなんと‼
「心筋梗塞」という文言が見当たりません‼
もう少し読み進めてみましょう。
「しかし、仕事が特に過重であったために血管病変等が著しく増悪し、その結果、脳・心臓疾患が発症することがあります。このような場合には、仕事がその発症に当たって、相対的に有力な原因となったものとして、労災補償の対象となります。」同リーフレット
おわかりですか?
「心筋梗塞」ではなく「血管病変等」という文言がポイントだということです‼
労災が対象としているのは、どうやら「血管病変等」のことであり「心筋梗塞」という具体的な病名よりも広い概念で対象にしています。さらに「心筋梗塞」という病名にたどりつくまでに「虚血性心疾患等」というくくりがありまして、この「虚血性心疾患等」の中のひとつに(ようやく‼)「心筋梗塞」があるのです。
このような建付けになっていることに留意が必要です。
整理してみるとこのようになるのでしょうか。
血管病変等>虚血性心疾患等=
「心筋梗塞」
「狭心症」
「心停止(心臓性突然死を含む。)」
「解離性大動脈瘤」
※「等」は「解離性大動脈瘤」のことみたいです。
心臓疾患による死亡は「心筋梗塞」とは限らず、このように幅が広いということです。
この記事のニュースバリューは「幅広い心臓疾患の中で『心筋梗塞』にフォーカスした調査結果だ‼」ということです。
「リスクを高めるとされる喫煙習慣や睡眠時間などの要因で差が出ないように調整し、勤務時間との関係を分析すると、1日11時間以上の長時間労働グループが急性心筋梗塞になるリスクは、標準的なグループに比べて1.6倍になった。」同記事
長時間働くことが命を縮める‼
「長時間労働グループを調べると、会社員らのリスクは2.1倍で、追跡を始めた年齢が50代の人のリスクは2.6倍と高かった。」同記事
わたしは55歳ですので、このような記事を読むと震えあがってしまうのですが、すこし冷静になったほうがよさそうです…
「一方で、経営者や自営業の人は長時間働いてもリスクの上昇はなかった。」同記事
勤め人と自由業のいずれの世界も知っているわたしとしては、ピンとくるものがあります。
経営者や自営業にはなくて、会社員にはあるものなあんだ?
なんでしょうね?
とても興味深い記事です。