[214] 労災事故防止へ 転ばぬ先の体操(中日新聞)

労働局によると、2018年に起きた労災事故のうち、転倒は1477件(速報値)で全体の23%を占める。」H31.2.6水 中日新聞16面 愛知

ここでいう労働局とは愛知労働局のことです。

過去五年間で最多の1524件だった17年を上回る見通しだ。」同記事

職場で転んでけがをすることが増えているということです。

発生場所別では、商業と製造業の現場に続き、介護など保健衛生業が多い。」同記事

わたしは労災事故というと建設や土木の現場が多いのだと思い込んでいましたので、発生場所が商業や製造、介護に多いというのは意外でした。

すこし深掘りをしてみましょう。

平成29年労働災害発生状況(平成30年5月30日 厚生労働省労働基準局 安全衛生部安全課)によると、労災事故は「死亡災害」と「休業4日以上の死傷災害」にわけてカウントしています。

社労士受験の時に「労働者死傷病報告」の扱いをおぼえたことを、今頃思い出しました。

参考)労働者死傷病報告(安衛則97条)事業者は、労働者が労働災害等により死亡し、又は休業したときは、遅滞なく、所定の報告書を諸葛労働基準監督署長に提出しなければなりません。ただし、休業の日数が4日未満のときは、「遅滞なく」ではなく、1月~3月、4月~6月、7月~9月、10月~12月の期間における当該事実についての報告書を、それぞれの期間における最後の月の翌月末日までに提出することとされています。(← むずかしいですね…)

死亡災害」は確かに建設業や製造業が多いのですが「休業4日以上の死傷災害」では「陸上貨物運送事業」つまり宅配便などのトラックのお仕事がもっとも多く、次いで「小売業」「社会福祉施設」と続いています。

「社会福祉施設」とは介護のお仕事のことと思っていいと思います。

ここには「建設業」や「製造業」は資料にあらわれてきていません。

わたしが「労災事故=建設や土木」という印象を強くしていたのは「死亡災害」のことであり「休業4日以上の死傷災害」ではなかったということです。

この記事の「労災事故防止へ 転ばぬ先の体操」とは「死亡災害」を予防するものではなく「休業4日以上の死傷災害」の予防を主たる目的としたものだということです。

資料によると「休業4日以上の死傷災害」の発生状況は以下の通りです。

第1位 転倒(24%)
第2位 墜落・転落(17%)
第3位 動作の反動、無理な動作(13%)
第4位 はさまれ・巻き込まれ(12%)
第5位 交通事故(7%)
第6位 切れ・こすれ(6%)
第7位 その他(21%)

やはり「転倒」が抜きんでています。

男女別では女性が六割を占め、そのうち約八割が五十歳以上となっている。」同記事

このみん新でも女性の就業率が50%を超えたことや、高齢者の就業増加について解説をしてきましたが、働く人が増えれば労災も増えてくるという構造になっていることに留意が必要です。

わたしは現在55歳ですが、50代ぐらいから注意が必要だ!ということが記事に書いてあります。まだまだ大丈夫‼と思っているわたしのような50代が実は一番危険なのでしょうね。

会社の段差やトイレの改修、整理整頓など有意の人材を労災で喪失しないために、経営者として考えておくべきこと、打つべき施策が必要になるのでしょうね。

「従業員にそんなぜいたくな…」という視点よりも「やっと確保できた人材だから休むことなく、人材活用したい‼」という経営的な視点で考える環境になったと考えるべしです。

しかし…

中小企業からは『どうたらいいか分からない』との声が多く、労働局は独自に体操をつくって普及させることにした。」同記事

このたびの記事は労働局の取り組みですが、このような案件へ個別具体的なアドバイスができることが、これからも社労士の価値になるのだと思います。

この記事は体操のことが紹介されているにすぎないように見えますが、会社で働く人に女性や高齢者が増えてくる時代がもうすでにやってきているからです。

2019年02月21日