[204] 1円玉はつらいよ 流通域、製造も中止(日経新聞)

1円玉など少額硬貨の流通量が減っている。電子マネーなどの普及で家計の消費支出に占めるキャッシュレス決済の比率は約2割に上昇。」H31.1.9水 日経夕刊11面 社会

この記事を読んで、諸兄はどのような感想をお持ちになるのでしょうか?

この記事のわずか?2週間ほど前のクリスマスイブの日には、同じ日経新聞に「キャッシュレス遠い先進国入り」(H30.12.24月 日経3面 総合・経済)という見出しの記事が掲載されていました。

冒頭の1/9日経夕刊の記事とは、少し立ち位置が違うようなのです。

そのクリスマスイブの日経朝刊の記事には「消費支出に占めるキャッシュレス」比率の国際比較が掲載されています。

韓国(89.1%)中国(60.0%)英国(54.9%)オーストラリア(51.0%)スウェーデン(48.6%)米国(45.0%)フランス(39.1%)インド(38.4%)

そして日本(18.4%)でした。

G7比較ですから、7位日本は最下位ということになります。

世界で様々な企業がキャッシュレス決済を巡って競争する消費の現場をみると、日本の遅れが目立つ。」同記事

1月9日の夕刊では「約2割に上昇」!となんだかグングン増えているような印象の書きっぷりですが、客観的に国際比較をしてみると、インド(38.4%)にダブルスコアの差があるのが実情だということです。

「キャッシュレス決済が増加している!➡だから1円玉が減っている」とは言えないというところに注意が必要です。

記事はこのあたりが大変に巧みに言葉を選んでいるのでありまして…決して「1円玉が減っている」と断じているわけではありません。

1円玉など『少額硬貨』の流通量が減っている」としているにすぎません。

また「キャッシュレス決済の比率は約2割に上昇」と述べているだけで「約2割」が高いか低いかという評価は一切していません‼

う~ん (゜_゜>)

このように新聞を読んでいると、言葉遣いの巧みさにとても感心します。

日銀によると、1円玉の流通高は02年の410億円をピークに17年は約378億円と8%減少。5円玉も1999年の約631億円から2017年は約538億円と15%減少した。」H31.1.9水 日経夕刊11面 社会

ここは少しわかりにくいので、整理してみると…

1円玉 410憶円➡378憶円
(▲32憶円 ▲8%)
5円玉 631憶円➡538憶円
(▲93憶円 ▲15%)

これは「金額」ですので「枚数」に換算してみると…

1円玉 400憶枚➡378憶枚
(▲32憶枚 ▲8%)
5円玉 126憶枚➡108憶枚
(▲18憶枚 ▲14%)

1円玉は減少「枚数」は5円玉に比べてとても多いのですが、5円玉の減少「率」は1円玉よりも多いと言えます。

つまり見出しの「1円玉はつらいよ」とは「枚数」の減少が著しいということをいいたかったのかもしれません。

1円玉の製造コストは1枚3円ともいわれ、公共経済政策に詳しい一橋大経済研究所の北村行伸教授は『造れば造るほど赤字になる』と話す。」同記事

ふ~ん _(:3 」∠)_

このトリビアは一体何分咲きぐらいになるのでしょうか?

少額硬貨に未来はあるのか。北村教授は『日本は現金を好んで使う文化が根強く残っている。端数を支払うための少額硬貨がなくなるとは考えづらい』との見通しを示している。」同記事

キャッシュレス化と1円玉減少に相関があるような書きっぷりですこし期待をしましたが、大学の先生の一言で今日のところは幕引きみたいです…

なあ~んだ… ですね (-_-メ)

2019年01月17日