[202] 国民年金 加入手続き廃止(日経新聞)

厚生労働省は20歳になった人が国民年金に加入する際の手続きを原則としてなくす方針だ。」H30.12.30 日 日経新聞1面

「え~と、そんな手続きしたっけなぁ?」

少なくともわたしは国民年金への加入手続きをした覚えはありません。社労士なのにそんなことを宣言してもいいのかと心配になりますが、わたしが20歳になったのは1984年(昭和59年)のことです。

20歳以上の人が国民年金に全員加入しなければならなくなったのが1986年(昭和61年)です。

つまり、わたしが20歳になった時点では「加入するかしないかは、あなた次第だ!」というUFOやノストラダムスの大予言を信じるかどうかと同じような扱いを受けていたということです。

わたしは20歳の時には国民年金に加入してませんでした!

社労士になった今から振り返ると、非加入は法律的には許されていたかもしれませんが、すこし惜しいことをしたと思います。「知らない」ということは、時として損をすることにつながる可能性があります。

細かい話に立ち入るならば、法律的に国民年金へ全員加入しなければならなくなったのが1986年(昭和61年)4月です。その時わたしは22歳で大学4年生になったばかりでしたが、法律通りにいけば私は国民年金に加入しなければならなかったはずです。

にもかかわらず!
わたしは加入していませんでした!

わたしが国民年金の被保険者となったのは1987年(昭和62年)4月に就職して、厚生年金に加入した時です。(国民年金なのに厚生年金??? このあたりからアッという間に難しくなるのが、年金の仕組みがフレンドリーでないところです。詳しい説明はまたの機会にしたいと思いますので、ここは…「とにかくはじめて加入したのが社会人になったときなのね!はい、はい…」としておいてください…)

実は1986年(昭和61年)4月に国民皆保険制度が導入されたときに激変緩和措置のような例外規定が設けられており「学生」は直ちに加入しなくてもよかったのです。その激変緩和措置は平成3年3月まで続くことになります。

ねぇー なんてややこしいのでしょうね!

このような制度や例外について社労士になるための国家試験で事細かく問われるので、必死になって勉強したので、わたしはある程度わかったつもりでいますが、国民年金と厚生年金の違いさえ明快に答えられるひとはそう多くはないと思います。

生保で販売している年金保険と国民年金が同じものだと思っているひともいるはずです。

優香さんがCMをしている国民年金基金と国民年金の違いは?と尋ねられても????ですよね、ふつう…

現在は20歳になると市区町村の役所で加入の手続きをするのが原則だが、日本年金機構が本人に代わって手続きを済ませる仕組みに改める。」同記事

よくわからない年金制度の加入ですから、ほったらかしにしている人がいてもおかしくはありません。こういう人は、そのうち都合よくほったらかしにしたことを忘れてしまうのですが…

そこで!忘れているかもしれない人に(ほぼ)行政が手を差し伸べるということです。

わるい話ではないと思います。

20歳になっても未加入にならないよう、年金機構が加入の手続きを進める「職権適用」という仕組みがある。ここ数年、役所での届け出と職権適用の割合はほぼ半々だ。」同記事

なぁんだ…

現在でも手続きをしない人に対して、年金機構(ほぼ行政)が手をすでに差し伸べているのです!

ということは…実態的にはそんなに大騒ぎする(日経の1面に掲載する)ようなことではないように思いますが、現在は法律的に「市区町村の役所での加入の手続き」がデフォルトであるものを「年金機構が加入の手続きをすすめる『職権適用』」をデフォルトに変えます!というのが、この記事のニュースバリューです。

この改正によって、一番の恩恵を受けるのは行政の事務は簡素化ではないかと思います。

いちいち加入非加入を確かめなくてよくなりますので、事務が効率化することは間違いないと思います。

もちろん!決してわるいことではないと思います。

自動的に加入する仕組みになれば利便性が向上する反面、年金加入者としての意識が薄まる懸念もある。」同記事

このように書かれていますが「忘れていたオマエがわるい!」と後でなじられたり、後悔したりすることを思えば、たいへんありがたい法改正(省令改正)だと思います。

わたしは社労士として、交流する方々に微々たる力ではありますが、年金の知識と理解を深めるお手伝いをしなければならず、今年も頑張ってゆきたいと思います。


2019年01月11日