「吉野屋ホールディングス(HD)の業績が悪化している。27日、2019年2月期の連結最終損益が11億円の赤字になる見通しだと発表した。」H30.9.28金 日経14面企業2
吉野屋HDは売上が年間2,000億円ぐらいある会社ですから11億円の赤字というのは比率から言うと-0.55%程度のものなので「すぐにとりもどせるやろ…」と思う向きもあるかもしれませんが、そうとはいえません。
牛丼御三家といえば、吉野家・すき家・松屋ですが、昨年度のすき家の利益は約181億円、松屋の利益が約28億円ですので、御三家のなかで一人だけマイナスになるわけにはいきません。
同じような商品を売っている3兄弟の中で、一人だけ「赤点」をとってくるということは、ごちゃごちゃ理由は聞かなくても「なんかあるのやろ!」と関西弁で勘繰られても仕方がありません。
株主の皆さんは「もうええわ!」という気持ちになって、株を売ってしまえば、株価は下がり吉野家の資産総額が小さくなるという、あまり想像したくない筋書きになってしまうかもしれません。
「吉野屋HDの河村康貴社長は「吉野屋」で「今期は牛丼の値上げはない」と公言。ライバルのすき家や松屋が17年末から相次ぎ牛丼の値上げに踏み切るなか、客数増で利益を確保する戦略をとる。」同記事
ふむふむ…
御三家のなかで吉野家だけが利益をだせなかったということです。
その理由は値上げをしなかったからということですが、みすみす利益が出ないシナリオを想定して、采配をふるう経営者はいないと思います。
10年ぐらい前に「もしドラ」という本が売れました。
「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」という本です。
そのストーリーの中で「フォアボールを出したくて出すピッチャーなんていないんだ!」という有名な?セリフがありますが、このセリフが吉野家にもそのまま当てはまると思います。
「赤字を出したくて出す経営者なんていないんだ!」
その証拠に吉野家の売上は増えているのです‼目論見通り「客数増」を果たしているということです。これは推測ですが、値上げをしなかったことですき家や松屋に行こうとしていたお客が吉野家に来た‼とも思えます。
「3~8月の「吉野屋」の売上高は新規開店分を含む全体で7%増えた。しかし、既存店だけの比較だと4%増にとどまる。コスト増を吸収するには、既存店の客数をさらに伸ばさねばならない。」同記事
つまり新規開店した吉牛は好調だけど、既存店はいまいちだということを言っています。
「牛丼店「吉野屋」の販売が計画に比べて伸び悩んでいることに加え、人件費や食材費の上昇が業績の重荷となる。」同記事
結局「人件費」と「食材費」つまり原価のところに要因があるということに帰結してくるというわけです。
「人件費」は折からの人手不足を背景とする最低賃金をはじめとする時給の上昇が利益を喰っているのかもしれませんし、少ない人数でオペレーションをしているとなかなか配膳されずに「もうええわ!」で帰ってしまうお客様がでてくるかもしれまん。
「食材費」とは牛肉の価格のことだと思われます。吉野家さんが仕入れているのはアメリカ産のショートプレートという牛肉ですから、トランプ大統領のTPP離脱とか関税の問題が牛丼のどんぶりの中にまで影響をはじめているということです。
Think Global! Act Local!
わたしはこの言葉が好きですが、霞が関発の働き方改革や少子化などの課題や世界経済などのグローバルな課題が、わたしの仕事にも強い影響力を持っていることを意識しなくては仕事にならないと思います。
吉野屋さん!頑張りましょう!