[158] 内閣府、「在職老齢」見直し訴え 高齢者の就業「年金が阻害」(日経新聞)

内閣府がまとめた60歳代の就業行動に関する分析結果によると、働いて一定の収入がある高齢者の年金を減らす「在職老齢年金」がなかった場合、フルタイムで働くことを選択する確率は2.1%上昇」H30.7.13金 日経5面(経済)

わたしは社労士ですので、この記事を読むと「あああのことね」とピンときますが、年金や60歳定年以後のことについて関心がないと、なにを言っているのか理解するのがすこし難しいですよね。

ひらたく言うと、年金もお給料も両方(全額)もらえた方がモリモリ働く気が出ます!ということです。

人は利欲のために働くのではない!という見解もたしかにありますが「もらえるにこしたことはない…」という気持ちもわからないわけではありません。現在の制度では年金をもらっている人が働くと、お給料の額に応じて年金が減らされるような仕組みになっています。

これは多くの人にとっては、65歳以降の話です。(65歳以前でも年金をすでにもらっている人、これからもらえる人がいますが、話がややこしくなりますので、ここでは65歳以降の話としておきます。)

現在多くの会社の定年は60歳ですので、定年60歳から年金受給65歳までの5年間問題、65歳以降なにして過ごすか問題など「定年後どうする問題」に関連する記事が7月中に思いのほか目に留まりましたので、ご紹介しておきたいと思います。

・平均寿命、男女とも最高 昨年男性81.09歳、女性87.26歳 H30.7.21土 日経3面(総合2)

またまた平均寿命が延びたということです。以前にも解説しましたが「平均寿命」というのは今0歳の人の平均命のことを言います。

0歳の人は60歳の人よりも、事故に遭遇したり伝染病にり患したりする可能性が高いにも関わらず男性で81.09歳 女性87.26歳まで平均で生きる可能性があるという意味です。

したがって人生のリスクを既にかいくぐってきている60歳の人は0歳の人よりも長生きする!ということになります。事実60歳の人の平均命は男性23.72年 女性28.97年(平成29年簡易生命表 厚生労働省)です。これらに60を加算すると、男性83.72歳 女性88.97歳です。平均寿命よりもおおむね2.5年程度長生きする!ということになります。(この2.5年分が60歳までのリスク分だと思ってもまあ間違いではありません。)

60歳でサラリーマン定年を迎えて、首尾よく継続雇用で65歳まで働いたとしても、その後平均で20年程度の時間があることになります。平均ですから、うっかり?すると30年経過してまだ!40年経過!で人生100年達成しちゃった!になっているかもしれません。

TSUTAYAのDVDを20年間とっかえひきかえ借りたとするとずいぶんたくさんの映画をみることができると思いますが、その前にあきてしまいますよね…(振り返るとすると40歳から20年間!60歳になるまでTSUTAYAのDVD生活をするということですから…そんな生活は少なくとも私には無理です!)


個人的見解ですが、もっとも飽きずに次々に興味を持ててドキドキしたり達成感を感じたりできる仕組みの王様は「仕事」だと思います。しかも社会とのつながりがあって、貢献できていると思えれば、充実感をしみじみ感じることができます。


このあたりのことについては明治安田生活福祉研究所の調査結果記事が参考になります。


「定年後も働きたい」8割 50~64正社員 民間調査 H30.7.17火 日経30面(社会)
「定年前の男女正社員2500人に定年後も働きたいかと聞いたところ「働きたい」と答えた人は、50~54歳の男性正社員では78.0%を占めた。… 女性正社員でもいずれの年齢層で75~80%を占めた。」


ただ定年後に働いている60代男性のうち、60~64歳では「日々の生計維持のため」が最多だったが、65~69歳では「生活のハリ・生きがい」がトップに。年を取るほど社会とのつながりや充実した生き方を求める傾向も判明した。

TSUTAYAのDVDだけでは満足できないのは私だけではないと、この調査でわかり個人的にはとても安心しました!

調査では継続雇用者のうち約4割で人事考課がなされていなかった。… 定年後も働くことが当たり前になる中、企業は継続雇用者の意欲を高める仕組み作りが必要になる」と話している。

このような仕組み作りに社労士としてぜひ協力していきたいものです。

いつまで経っても、経験を積んでもだれかに評価されたいという気持ちがモチベーションになるということです。

20世紀アメリカの心理学者マズロー先生は、人間の基本的欲求は5段階ある!と提唱しましたが、このだれかに評価されたい欲求は5つの欲求のうち4番目、頂点から2番目のまずまず高いレベルの欲求だと言っています。

これのさらに上をいく一番高い究極の欲求は「自己実現の欲求」です。これは自分の成果を自分でOK!とできる状態ということですので「自らを由とする」つまり自由を手に入れることが究極だということのようです。

「定年した後の話やけど… 好きなだけDVD見たいと思うねんけど… 嫁にはあんまりテレビを独り占めにせんとってと言われるし… やっぱ映画館でみるほうがいいと思うねんけど、お金がかかるから… 働いたほうがええのはわかってんねんけど… 年金の範囲でもまあまあやとも思てしまう自分もおるねん…」

ジャかじゃん!(ギター音)

「定年後に、働くか、働かへんかは、自由だあ~!」


こんな感じのネタでこぶしを突き上げ自由を提唱して人気者になった白いTシャツGパンにギターの犬井ヒロシさんは、マズロー的には究極のネタを提供していたのかもしれません。

ちなみに犬井ヒロシさんとサバンナの高橋さんは単なる知り合いということみたいです。w

定年後 is freedom! 定年後 is freedom! 定年後 is freedom! 定年後 is freedom!…

「でも年下に人事考課されるのはめっちゃ勇気いるでぇ~」

2018年08月07日