[152] 最低賃金20円超上げへ 3年連続(日経新聞)

このところでは生産性の具体的な計算例の解説をしました。

吉野家 すき家 松屋の損益計算書から生産性を算出して生産性額を計算してみました。

これらの「牛丼3社」は「牛丼御三家」という正式?な言葉がどうやらあるそうです。

「御三家」と言えば、わたしの世代では(野口五郎 西城秀樹 郷ひろみ)の「新御三家」を思い出しますし、本来?の御三家とは徳川御三家(尾張 紀州 水戸)のことを指すのだそうです。

すこしググると御三家と呼ばれるものがたくさんあって、御三家という言葉には需要があるのだなぁ…とつくづく感心します。

その中に「猛毒キノコ御三家」というのがあり個人的には秀逸でした!

ドクツルタケ
タマゴテングタケ
シロタマゴテングタケ

名前を聞くだけで吸い込まれてしまいそうです。

 



またまた閑話休題ですね。

さて生産性は会社が「稼ぎ出したお金」を「働いた人の数」で割り算して算出するのでした。



そして「稼ぎ出したお金」とはざっくり言うと「売上」から「売上原価」を引いたものと考えることができるのでした。



しかし!誤差が含まれているので、精度を高めるためには分子を少し細かく分類設定する必要があるのでした。



ここまではおさらいです。

普通はいま説明したような順序で物事は進んでいきます。


①会社がマネーを稼ぎ出す。

②稼ぎ出したマネーの利益を計算する。(売上-売上原価)

③稼ぎ出したマネーの利益の中から本社の賃料を支払ったり(賃貸料)お給料を支給したり(人件費)ローンを支払ったり(減価償却費)税金を支払ったり(租税公課)する。

④それでもなおかつ残っている余力が会社がマネーを稼ぎ出す本来の力(営業利益)である。

⑤それらを決算であきらかにする。


ざっとこんな感じです。

これのどこに「最低賃金」がかかわってくるかと申し上げますと、もちろん!「人件費」のところです。

厚生労働省は今秋の最低賃金の見直しに向けた議論を26日から始める。」「今年6月に閣議決定した経済財政運営の基本方針(骨太の方針)でも3%程度の引き上げ方針を盛り込んでおり、18年度もデフレ脱却を後押しする狙いなどから、20円を超す引き上げが確実な情勢。」H30.6.21木 日経新聞3面(総合2)

特に「デフレ脱却を後押しする狙いなどから、20円を超す引き上げ」と書いてありますが、「デフレ脱却を後押し」の意味は、三つ目の一番くわしい生産性の計算式を使えばよくわかります。


①最低賃金を引き上げれば、分子の「人件費」が大きくなる。

②「人件費」が増えた分は「営業利益」を取り崩すことになる。

③「営業利益」が減る=業績が下がるということである。

④業績が下がるのは、銀行などからの資金借り入れなどに響くので、会社としては困る!

⑤「人件費」が増えた分だけ売り上げを増やすしかない!


このようなことを目論んで政府は最低賃金の引き上げを議論しているということです。

なんだかもやもやしますね…

そうなのです!本来の順番と理屈が逆になっているからです。本来はマネーを稼ぎ出したのでその中からお給料を払うという順序であるはずですが、最低賃金の上昇は、お給料をたくさん払う分おおめに!マネーを稼ぎ出す!から生産性があがる!という逆順の理屈になっています。


厚労省の調査によると、全国平均で25円引き上げた16年度の見直しでは、従業員30人(製造業は100人)未満の事業所で働く人の11%が最低賃金を下回る状態となり、賃金の引き上げが必要になった。」H30.6.21木 日経3面(総合2)


従業員10人に一人のお給料がともかくアップする(アップしないと、最賃法違反!で取り締まられる!)ということですからインパクトがある施策だと思います。


経営体力が乏しい中小企業にとっては人件費負担が重くなる。持続的に引き上げていくには、企業の労働生産性を高めることが必要になる。」同記事


さらりと書かれていますが、ここでいう「企業の労働生産性を高める」には経費削減も結構だと思いますが、一般管理費の削減できる経費の割合を鑑みるとやはり本命は売上をあげることしかないと思います。

どうしましょう…


(つづく)

2018年07月17日|ブログのカテゴリー:生産性向上