[139] 難民申請者の就労 厳格に 法務省「半年で一律許可」廃止(日経新聞)

外国人が日本で働くためのカテゴリーは5つでした。

しかし…このいわば正面玄関から来日して就労するカテゴリーとは別に「難民申請」によって働いている外国人が大変増えています。

なんだか裏口就労のようなイメージで書いてしまいましたが、違法就労というわけではありません。

?????

よくわかりませんよね。すこし順を追って説明したいと思います。

難民認定制度は人種や宗教などを理由に母国で迫害を受ける恐れがある外国人を保護するため、日本で在留を認める制度だ。」H30.2.14水 日経新聞

ふむふむ…ですよね。「人道的な配慮」というやつですよ!

で…次のところを注意深く読んでください。

申請から6か月後に一律で日本での就労を認める運用だった」同記事

つまり…あきらかに難民でなくとも!わたしは難民です!と主張して「難民申請」をすれば!「6か月」経てば!「一律で日本で就労」できた!ということです!

なんですと!ですよね… それぞれのカテゴリーでは就労に際して様々な条件が課せられているのですが、それを軽々スキップして日本に入国して、楽々就労できてしまう!ということではないですか!わたしは難民です!という呪文を唱えるだけで!ですよ!

具体的に流れをまとめると、外国人が日本で働くための5つのカテゴリー(①身分にもとづく在留 ②資格外活動 ③技能実習 ④専門的・技術的分野の在留資格 ⑤特定活動)に該当しなくても、とりあえず来日して!自分は難民だ!と主張して「難民申請」して!「6か月」経過!すれば ⇒ 働ける!ということを意味します。

不法滞在を避けて日本で働く抜け穴として制度を悪用する申請が相次いだ」同記事

そりゃそうですよね…難民申請でいいんじゃね?となりますよね… 本当に難民かどうかにかかわらず…

難民申請後に在留資格(就労不可)を得られ、6カ月後の更新手続きの際に希望者は一律に「就労可」の資格を得られた。難民認定の手続きは、一度不認定となったのちの不服申立を含めると約3年と長く、申請者の生活支援のためだった。」H30.1.30火 中日新聞

すこしわかりにくいですが、申請をして6カ月たちました!就労不可から就労可になりました!でも難民としては不認定となりました…となっても!不服申立をすれば、その結果が出るまでは働けます!という意味です。つまり不服申し立ての結果がでるまでの約3年は働き放題?ということです。

しかも…

難民申請には留学生や、日本で働きながら職業上の技能を学ぶ技能実習生も目立つ。よりよい賃金を求めて失踪し、難民申請する外国人が多い。」H30.2.14水 日経新聞

2017年の難民申請の数は、「申請」の数が2万人程度になりました。この中で本当に「難民」と認められた外国人はわずかに20人でした。

20/20000人ですから、難民として認められたのは0.1%ということになります。

また現在日本で働いている外国人就労者が約100万人とすると「申請」者数の割合は2%程度に相当し、これは放置できないということでいよいよ法務省が動くことになりました。ゆゆしき事態である!ということでしょうか。

法務省は12日、難民申請から6か月後に一律で日本での就労を認める運用をやめると発表した。就労を望む外国人が不法滞在を回避して働く抜け穴として悪用されるのを防ぐ。」H30.1.12金 日経夕

難民申請を活用して日本で就労しようと考えていた外国人にとっては、あきらかにハードルがあがることになりますが、現実のところ外国人の動きはどのようになるかは、この施策の運用結果をまたなければなりません。

しかし、外国人就労にはこのようなルートがあるということを知っておくことは、在留カードのチェックポイントを知っておくことと同じように、社労士として無駄な知識ではないと思います。


さて明日は6月1日です。以前ご紹介した同一労働同一賃金にかかわる最高裁判決が出る日です。
ポイントは同一労働同一賃金とは具体的になにか?というところです。働き方に結構大きな影響のある判決になるのだろうと個人的には思っています。「長沢運輸訴訟」のポイントは「定年後の賃金引き下げ」はありかなしか。 「ハマキョウレックス訴訟」のポイントは「正社員と契約社員の各種手当の差額」はありかなしかでしたね。そうです!同日に二つの最高裁判決がある予定です。(詳しくは[129][130]をご参照ください。)注目の最高裁判決ですが。新聞での取り上げ方にもたいへん興味があります。


2018年05月31日|ブログのカテゴリー:外国人就労