[136] 外国人 実習後に就労資格(日経新聞)

外国人の日本での就労は、5つのカテゴリーに分類されるということを何回かにわたって、解説してきました。

おさらいしておきますと…

①身分に基づく在留資格
※永住者や日本人の配偶者などです、たとえばブラジル三世というのはこのカテゴリーです。

②資格外活動
※本当は学業優先で働くことができない留学生を上限28時間まで働けるようにしたカテゴリーです。

③技能実習
※単純労働OKゆえに働き方や賃金などさまざまな問題が報道されているカテゴリーです。

④専門的・技術的分野
※政府がもっとも招聘したい外国人カテゴリーです。

⑤特定活
※EPA(経済連携協定)に基づく外国人看護師候補や介護福祉士候補が認められるカテゴリーです。

これらのカテゴリーの中はさらに細かく分類されています。たとえば「外交」とか「芸術」「報道」「医療」「教育」「永住者」「定住者」「永住者の配偶者等」などです。

この小分類のことを「在留資格」と言います。

先日入管法の改正で介護人材を受け入れるために在留資格「介護」を新設したことをご紹介しましたが、その分類がまさにこの「在留資格」です。

在留資格「介護」に続いて「政府は2019年4月にも外国人労働者向けに新たな在留資格をつくる。」H30.4.12木 日経 としています。

新設する資格は「特定技能(仮称)」。17年10月末で25万人いる技能実習生に、さらに最長5年間、就労の道を開く。」同記事

現在のルールではカテゴリー3の技能実習生は、原則3年(優良団体に限り5年)までしか働くことができません。その技能実習生の在留資格を「技能実習」から「特定技能(仮称)」に変更して、さらに長く日本で働くことのできることにしよう!というものです。

先般の在留資格「介護」を新設したのは、まず「留学」→(資格取得後)→「介護」というルートでしたが、これは「技能実習」→「特定技能(仮称)」とするということです。

介護の場合は「資格取得」が条件でしたが、特定技能(仮称)については記事を読む限りは「最長5年間の技能実習を終了した外国人に、さらに最長で5年間、就労できる資格を与える。」同記事 と書いてありますので、技能実習の予定期間を終えた外国人に在留資格変更の権利が与えられるということでしょうか。

ただし…この新設される在留資格「特定技能(仮称)」では家族を日本に呼び寄せることはできません。この点は技能実習生とかわりはありません。

しかし!

試験に合格すれば、家族を招いたり、より長く国内で働いたりできる資格に移行できる。」同記事

この次の在留資格は旧来からある「技能」などとしています。

このスキームで来日すると最長で10年間日本で働くことになります。10年以上の在留になると永住権が認められる可能性がでてきますが、この点は仕組みの上で歯止めを設けているようです。

技能実習制度とその本来の目的は維持するため、新資格は一定期間、母国に帰って再来日した後に与える。」同記事

この一旦帰国するというところがポイントです。

外国人の永住権取得の要件の一つに「引き続き10年以上の在留」がある。いったん帰国してもらうため、技能実習と新資格で通算10年を過ごしても、直ちに永住権取得の要件にはあたらないようにする。」同記事

政府は単純労働者の受け入れを原則認めていない。」同記事

この方針を没却しないためのスキームということでしょうか。

2018年05月22日|ブログのカテゴリー:外国人就労