先回はEPAに基づいて看護師や介護福祉士を目指すインドネシア人、フィリピン人、ベトナム人は、日本で働きながら資格取得の勉強ができるという仕組みをご紹介しました。
このEPAとは「別に」介護に限り別ルートが新設されました。
この新設された別ルートは介護に限ったことですので、医療分野の看護師は依然としてEPAのフレームのみということになります。念のため…
さて、介護に関して新設されたルートは2ルートあり、ひとつは「①在留資格」に基づくもの。もう一つが「②技能実習」に基づくものです。
まず先に2番目の「②技能実習」について新聞記事をチェックしてみましょう。
「技能実習は1993年に導入され、これまで農業や製造業が対象となっていた。」H29.10.29日 中日新聞
この職種が農業や製造業だけに限定されていたカテゴリー3の「技能実習」に介護職種を追加するという法改正が行われ昨年11月1日に施行されたということです。法律とは技能実習適正化法です。
「介護は初の対人サービス。介護現場での期待は高く、ベトナムやミャンマーなどからの来日が想定され、政府内ではベトナムから三年間で一万人程度の受け入れを目指したいとの意見がある。」同記事
現在カテゴリー3の「技能実習」で入国しては働いている外国人は21万人ですので、約5%程度の外国人実習生人材をこのカテゴリーで増やしたいという意向と読むことができます。
もうひとつの新設ルートが「①在留資格」に基づくものです。こちらは即労働力というよりも時間をかけて専門的なスキルを持った外国人人材を育成するというものです。
こちらのルート新設の根拠となる法律は、いわゆる「入管法」の改正です。「入管法」は正式には「出入国管理及び難民認定法」と言います。この「一部を改正する法律」つまり法改正が平成28年11月28日に公布され、平成29年9月1日に施行され、新ルートが敷設されたということです。
このルートの特徴は、まず「外国人留学生として入国」することです。
カテゴリー4のEPAは「施設などで働きながら」資格取得を目指すのでしたよね。
そしてカテゴリー3の技能実習はそもそも働くことを前提としたカテゴリーです。
そして「外国人留学生として入国」した外国人人材は「介護福祉士養成施設で就学(2年以上)」して「介護福祉士の国家資格取得」をすることになります。
入国から介護福祉士の国家資格取得までの在留資格は「留学」です。
そしてひとたび「介護福祉士の国家資格取得」したならば、はれて!在留資格を「留学」から「介護」への変更を認める!というのがこの入管法の改正ポイントです。
これらの人材の受け皿となる在留資格である「介護」もこの度の法改正で新設されたものです。
そして在留資格を「留学」から「介護」に変更した人材は日本で「介護福祉士として」働くことになります。
ひとつひとつをチェックするとなるほどと思いますが似たようなルートがおおくてややこしいですね…
まとめると!
介護に関して外国人が日本で働けるルートは3つある!ということです。
1.EPAに基づくルート
(特徴=働きながら介護福祉士合格を目指す!)
2.在留資格「介護」ルート
(特徴=当初は「留学」で入国し勉強に専念して介護福祉士合格を目指す!)
3.技能実習ルート
(特徴:一定の条件をクリアーすれば介護職で働くことができる。)
最後に技能実習ルートの「一定の条件」について補足しておきます。
「入浴などの介助では意思疎通が重要なため、入国時に「日常的な場面でややゆっくり話される会話であれば、ほぼ理解できる」日本語能力を求めた。入国後、日本語と介護の研修を受けてから働く。」H29.10.29日 中日新聞
介護の現場はこのような外国人の受け入れで働き方も変わってくるのかもしれません。