外国人労働者に関する解説をカテゴリー別にご紹介していますが、今回は最後のカテゴリー5 [特定活動] です。
このカテゴリーは対象者が少なく2016年10月末時点で1万9千人です。
カテゴリー1「在留資格」(永住者など)が40万、カテゴリー2「資格外活動」(留学生のアルバイトなど)が24万、カテゴリー3「技能実習」が21万人、カテゴリー4専門的・技術的分野が20万人ですから、約20分の1から10分の1の数ということになります。
どうして数が少ないかというと、認められるハードルが少々高いことが理由だと思います。
条件が厳しいということです。狭き門ですね。
法務省のHPなどには外国人労働者について在留資格一覧表が掲載されていますが、このカテゴリー5の「特定活動」のところには「法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動」と記されています。
具体的な該当例としては「外交官等の家事使用人、ワーキング・ホリデー、経済連携協定に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者等」となっています。
特にこの中で新聞記事などで注目されるのは「経済連携協定に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者等」です。この経済連携協定のことをEPA(Economic Partnership Agreement)と言います。
さらに注目したいのが「候補者」でよいという点です。
留学という形ではなく「施設などで働きながら」看護師資格合格や介護福祉士資格合格を目指す外国人OK!ということです。「働きながら」が認められるというところがEPAのポイントです。
留学にくらべて準備する資金が少なくてすむことになります。
しかしながらこれは国と国との協定ですから、受け入れる国が決まっており現在は「インドネシア、フィリピン、ベトナム」となっています。
さて、ここまで理解したところで新聞記事を読んでみましょう。
「厚生労働省は二十七日、二月に実施された看護師国家試験で、経済連携協定(EPA)に基づくインドネシア、フィリピン、ベトナムから来日した看護師候補者七十八人が合格したと発表した。」H30.3.28水 中日新聞
この記事では介護福祉士のことには触れておらず、看護師試験のことだけですが、何の話をしているかが予備知識によってとてもよくわかります。
「合格者の内訳はインドネシアが二十九人、フィリピンが三十一人、ベトナムが十八人。EPAによる受け入れは2008年に始まり、これまでの合格者は計三百四十四人となった。」同記事
まだ少ないとは言え、このような仕組みがあるということは、病院に行くと外国人看護師さんに採血されるかもしれない、入院してナースコールをすると外国人看護師さんがやってくるかもしれないということです。
ドラマのERみたいですね。
外国人看護師が医師の処置をしてしまうストーリーがあったと思います。
日本で就業している看護師の数はざっくり100万人ですから、その中で344人は0.034%にすぎませんが、時代は確実に動いているということです。