先回政府はカテゴリー4の [専門的・技術的分野]人材を規制緩和をして、積極的に受け入れをしたい意向があるという解説をしました。
「どの業種で増やすかは今後の検討課題だが、介護や農業など構造的に人手不足の状態にある業種で受け入れを増やすものとみられる。」H30.2.20火 日経
この2/20の記事の文脈は、あくまでもカテゴリー4の「専門的・技術的分野」として受け入れを増やしていくというものですが、それに先行して外国人の受け入れを始めている地域があります。
「国家戦略特区」での取り組みです。
国家戦略特区という言葉は「加計学園問題」で「おなじみ」になってしまいましたが、実は1次指定の「新潟県 東京圏 関西圏 養父市(兵庫県) 福岡市・北九州市
沖縄県」2次指定の「仙北市 仙台市 愛知県」3次指定の「広島県・今治市」の合計10区域のことを指しています。
今後数が変動する可能性がありますが、現在は以上10区域となっています。
加計問題は3次指定の「広島・今治市」だということです。それはさておきまして…
「政府は外国人の就農を国家戦略特区の指定を受けている新潟市、京都府、愛知県の3カ所で解禁する方針だ。」H30.3.7水 日経
現在のところ在留資格に「農業」はありませんので、外国人は農業で働くことはできないというのがルールです。
これを国家戦略特区で解禁しよう!というのがこの度の施策です。
国家戦略特区という場所でお試しをしてみようということでしょうか。
「愛知県は農業産出額が全国8位。大規模化や機械化が進み効率化が図られているが、全国と同様に担い手不足が深刻化している。」H30.3.9金 日経
ここでも人手不足が規制緩和の動機になっているということです。
「事業者が受け入れるのは満18歳以上で、1年以上の農業実務経験がある専門人材。業務に必要な日本語が話せることも条件とする。」同記事
あくまでも「専門人材」であることが必要条件だということです。
この度は国家戦略特区での取り組みですが、いずれは全国に横展開してカテゴリー4の「専門的・技術的分野」の人材受け入れにつなげたいという意向があるのだと思います。
「賃金は日本人労働者と同等以上の報酬を支払うことを義務付けるほか、年間の総労働時間の上限も設ける。」同記事
年間の総労働時間の上限があるということは、就農外国人を雇用するならば就業規則の整備もそれなりに必要になるということだと思います。このあたりは社労士の専門分野になりますね。
「就農期間は通算で3年間。従事する期間が農繁期の期間だけなら、3年を超えて働くことができる。」同記事
働く期間が3年というのは、有期労働の上限3年とフレームが似ているようにも思われます。雇用契約管理のやり方などは、国家戦略特区のルールや入国管理法の改正などを意識しながら具体的な方法を構築する必要がありそうで、社労士の専門性の需要がそれなりにありそうな気がします。
「政府の国家戦略特区制度を活用し、農業に従事する外国人を受け入れる事業が二十六日、全国に先駆けて県内(愛知県)ではじまった。県が外国人材の受け入れを希望する企業などの申請を受け付け、適正に受け入れているかを管理する協議会を設立。高齢化と担い手不足に悩む農業に活路を見出すモデルづくりを目指す。」H30.4.27金 中日
まずは「適正受入管理協議会」というところがひと肌?脱いで受け入れての面倒をみるということです。具体的には「現地調査」「巡回指導や監査」「苦情・相談」と記事には書かれています。今後の成長に期待したいと思います。