[131] 外国人労働者 カテゴリー3 [技能実習]

先週は最高裁最終弁論ウィークでしたので、外国人労働者解説をお休みしていましたが、また再開したいと思います。

さて…

そもそも「技能実習」とは「外国人技能実習制度」と言います。

外国人を日本の企業や農家が受け入れ、習得した技術や知識を母国の経済発展に役立ててもらう目的で1993年に創設された。」H30.3.5月 日経

創設から四半期25年経過した制度で、実はもはや新しい制度ではありません。

受け入れ対象は建設、機械・金属、食品製造、農業など。実習生は約26万人と外国人就労者(留学生含む)の2割を占める。」同記事

まあまあたくさんの外国人がこのカテゴリーで来日しているということです。

厚生労働省は2017年度から、外国人技能実習生の受け入れ期間を優良な団体に限り従来の3年から5年に延ばす。技能実習生は違法な長時間労働や低賃金での労働などが社会問題となっている。」(外国人技能実習受け入れ 優良団体は5年に延長 厚労省、来年度から H29.3.27月 日経)

2017年11月に外国人技能実習適正実施法が施行され、実習期間が最長3年から5年に延長されるとともに対象職種に介護が追加された。」H30.3.5月 日経

昨年3月末には予定でしたが、昨年11月から実際に施行されているということです。

では先ほどの記事にある「技能実習生は違法な長時間労働や低賃金での労働などが社会問題」とは具体的にどのようなものでしょうか。

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・実習生の残業 月200時間超 岐阜の業者 時間外賃金で裏契約 H29.5.28日 中日

・外国人技能実習生 法令違反、事業所7割で 長時間労働者や安全対策不備 3年連続最多更新 H29.8.10木 日経夕刊

・外国人実習生 22人労災死 3年間 国全体より比率高く H30.1.15月 日経

・外国人実習生 労災死22人 14~16年度発生率 際立つ高さ H30.1.15月 中日

・「外国人実習生 労組脱退を」群馬 受け入れ監理団体 要求 労組不当労働申し立て H30.1.22月 中日

・実習生の脱退 労組に求める 群馬の受け入れ団体 H30.1.22月 日経

・技能実習「不正」213機関 法務省通知 賃金不払いなど H30.2.20火 日経夕刊

・休暇希望の実習生強制帰国 ベトナム人に 受け入れ団体 H30.4.8日 中日
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この記事を見るだけでも「長時間労働」「最低賃金違反」「安全衛生法違反」「労災」「不当労働行為」「賃金不払い」のような不適切な扱いがあるとしています。

国内から「低賃金労働者の確保に利用されている」と批判され、違法な長時間労働や賃金不払いなども問題化している。」H29.4.4火 日経夕刊

国外からの批判にさらされている!

つまり国際的に日本の労働環境はよろしくない!と言われていることは重く受け止めざるを得ません。

山村医師は「ベトナム人が日本に抱く好印象を悪用した『奴隷制度』だ」と指弾。」(技能実習生の実態知って 支援の医師 ベトナム取材、映像に H29.10.31火 日経夕刊)

ここまで記事に書かれてしまうまでになっているのだと理解すべきだと思います。

政府は4日、外国人技能実習制度に基づき日本国内の企業や農家で働く外国人への人権侵害に罰則を設け、受け入れ先への監督を強化する技能実習適正化法の施行日は11月1日と定める政令を閣議決定した。」H29.4.4火日経夕刊

この実情を法律的に手当てしようとしたのが昨年11月に施行された「技能実習適正化法」です。

外国人技能実習生を受け入れる企業に対する法令順守の圧力が一段と強まりそうだ。」(外国人実習 企業に重責 人権侵害罰する新法施行 H30.3.5月 日経)

記事には上記の通りとありますが、実際の効果や成果はこれからです。

法律の整備を横目に、次のような「問題」も報道されています。

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・除染作業に技能実習生 ベトナム男性「説明なかった」専門家「制度の趣旨逸脱」H30.3.6火 日経

・実習生が除染「不適切」ベトナム人男性の問題受け 法務省見解 H30.3.15木 日経

・外国人実習生の除染禁止 政府「国際貢献になじまず」H30.3.17土 中日

・ベトナム人に手当不払い 技能実習生 福島の被災建物解体 H30.4.7土 日経

・別会社でも実習生が除染 ベトナム人3人「説明なかった」福島・郡山 制度逸脱氷山の一角か H30.4.18水 日経
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やれやれですよね…

さらに外国人技能実習「絡み」で所得隠しまで報道されていました。

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・実習生「管理費」所得隠し 中国国有企業 2億2000万円 名古屋国税局指摘 H30.4.13金 中日

・管理費 中国送金か 所得隠し 実習仲介業者ら証言 H30.4.13金 中日
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制度創設から25年経過していますが、まだまだ課題があるというべきか、少子高齢化による人手不足により環境が変わってきたとみるべきか、予断は許しませんが、社労士としても入管難民法、技能実習適正化法をはじめとする法律理解と制度知見が必要になりそうです。


2018年05月01日|ブログのカテゴリー:外国人就労