厚生労働省の発表によれば、民間企業で働く障害者の数が「過去最多だった」ということです。さらに働く障害者の数は、13年間ずっと右肩上がりに上昇続けています。
わたしはサラリーマン時代、人事部に配属になるまでは、障害者と働くということを考えたこともありませんでした。いまから振り返ると、とても了見が狭いですね。とても恥ずかしいと思います。でも、いわゆる「現場」には、そんな空気がまだまだ幅を利かせているのかもしれません。
まあ、そんな精神論はさておき…
なにか障害者雇用の数字を上昇させる具体的理由があるはずです。
障害者を雇わなければ「ペナルティ」がある。
「ペナルティ」は、一人当たり月々50,000円である。
「ペナルティ」対象者が、3人いると、
3人×50,000円×12カ月=180万円
を当局に納めなければならない…
「え… まじ?」ですよね…
※「ペナルティ」があるのは、従業員が100人を超える会社です。
これは法律で決められているルールなのですが、こういうことを、ご存知の「現場」の方は、わたしの勤めていた会社には、残念ながらあまりいませんでした。どこの「現場」もそんなものなのでしょうか。
このペナルティ… 達成した場合には反対に「報奨金」があります!
「報奨金」は、一人当たり月々27,000円です。
「報奨金」対象者が、3人いると、
3人×27,000円×12か月=972,000円
が支給されるということです。
※正確には「障害者雇用調整金」という名称です。「報奨金」は雇用労働者数が常時100人以下の場合に少し別のルールで支給されるものを指しますが、ここでは言葉としてわかりやすく「調整金」のことも「報奨金」と言っています。
助成金などは一時金であることが多いのですが、この「報奨金」は条件を満たす限り、支給が継続する!というものなのです。
この「報奨金」の支給を受けるためには、まず50人に1人(2%)障害者を雇っていることが必要になります。そこからさらに雇い入れた障害者に対して、月々27,000円が支給されるということになります。
細かいルールはまだありますが、大筋はこういうことです。
しかしながら、障害者と働き続けるということは、いままでの「働き方」を変えなければならないこともあります。
障害者の雇用は、「かわいそう論」や「社会貢献説」では、そのうち息切れするか、どこかに無理が生じて、職場の空気がたちまちわるくなってしまうことは、よくあることです。
無理をしない、すなわち誰かに負担をかけることなく、「働き方」を変えるためには、知恵と工夫と努力と熱意が必要です。
それらを「制度」に仕上げておけば、申し分ありません。
この「努力」や「熱意」の維持のために「報奨金」をあてにすることは、そんなにわるくない考えだと、私は思います。
「報奨金」を目当てに「制度」をつくる…は、むしろ前向きなことだと思います。
「制度」が整備されれば、企業価値はあがります。
記事によると、約半数(48.8%)の企業が法定雇用率を達成しています。
知恵と工夫と努力と熱意の四つのランプを、企業の半数が灯したと読み取ることができます。
「つづけ!」ですよね。
制度や風土が出来上がりさえすれば、もう一歩踏み出して、「報奨金」の支給を受けることは、そんなに難しいことではないと思います。
今日の記事ネタまとめ
①「企業雇用障害者47万人(6月1日時点 13年連続最多更新)」H28.12.14水 中日新聞