[129] 非正規賃金格差 6月判決 最高裁、定年後の再雇用で(日経新聞)

20日の最高裁の最終弁論は期待したほど進展がありませんでした。

この日の弁論で男性は「仕事は何一つ変わっておらず、強い憤りを感じている」と意見陳述。原告側の弁護士は「賃金引き下げの是非は、定年前後で能力に差が生じていないか、といった具体的な事情を考慮した上で判断すべきだ」と述べた。」H30.4.21 日経新聞

どのぐらい賃金が下がったかというと「2~3割引き下げられた」(同記事)としています。

一方、会社側は「多くの企業が定年後の賃金引き下げを取ってきているなか、賃下げを一刀両断に違法とすることは、再雇用に取り組む企業にとって想定外。定年前よりも下がるのが社会一般の認識だ」と主張した。」同記事

定年後の賃金引き下げは不当と訴えた長沢運輸訴訟は、東京高裁が「引き下げは社会的に容認されている」と指摘。定年前と同水準の賃金を支払うよう命じた一審判決を取り消し、原告側が逆転敗訴した。」H30.4.16月 日経新聞

いわば東京地裁vs東京高裁の図式の平行線のまま最終弁論まできた…ということになります。

仮に判決が再逆転して、東京地裁の判決に準じて定年後の賃金引き下げは不当という判決になれば、それならいっそのこと!定年を65歳まで延長してしまえ!という会社も増えると思われますが、その分人件費も増加することになります。

これは会社の負担になります。

生産性の観点から述べると…人件費が増えたとしても営業利益がそれだけ減るわけですからあまり関係がないという「うがった?」意見がないわけではありませんが、会社経営からすると実弾としてのマネーがなくなるわけですから、定年延長には慎重にならざるをえません。

それよりも…定年延長となると役職ポストがあきにくくなり、特に中間管理職あたりのやる気をそいでしまう可能性もあります。

では定年の年齢を延長せずに、賃金だけ定年前と同じ嘱託にするしかないのでしょうか…

嘱託に単身赴任を命じることはできないわけではありませんが、これはこれで人材活用上の別の課題が顕在化してしまいそうです。

なにを「嘱」して「託」するのかということにスポットが当たらざるを得ません。

だったら定年延長でええやんか!と振り出しに戻りかねません。

そもそも定年前とお給料が同じで、単身赴任の心配のない嘱託は60歳までの正社員よりもなんだかお得な気がしないでもありません…

正社員からブーイングがでないまでも、なんだか正社員のモチベーションが下がって、生産性の低下につながるおそれがあるかもしれません。

とはいえ…これは経営側からみた意見であって、定年を迎えた従業員からみるとすべてこの裏返しですから、60歳を超えると素敵なエクストラ期間がやってくる!それをモチベーションに退職率が低下して、採用コストがかからない、ロイヤリティの高い会社になるではないか!という考えもあるわけです。

やはり…

この判決は注目せざるを得ません!

最高裁第2法廷(山本庸幸裁判長)は…、判決期日を6月1日に指定した。」同記事

次に待つのは6月1日(金)です。
もう少し待ってみたいと思います。

2018年04月24日|ブログのカテゴリー:シニア(定年延長など)