[119] 非正規待遇格差 初判断へ 手当や賃金 最高裁が解釈示す

見出しには「最高裁が解釈示す」となっていますが「解釈を示す」のは「これから」ですので、ご注意ください。すでに最高裁の判決が出ているわけではありません。

すこし解説してみます。

正社員と同じ仕事なのに待遇に格差があるのは違法――。契約社員によるこんな訴えが各地の裁判所におこされている。」H30.2.19月 日経

これは政府が推し進めようとしている同一労働同一賃金の根っこの部分にふれている訴訟だというところが注目のポイントです。

わたしの個人的な経験ですが、20年ぐらい前の90年代に勤めていた会社に契約社員なるひとたちが増えてきました。その頃は人事とは関係のない仕事をしていましたので、契約社員がどんな法的な性質の人たちかも知りませんでした。

したがって、そういう時代か…と軽く考えていたのですが、社労士になって、当時を振り返ってみれば、実は契約社員を受け入れる制度が構築されて、新卒正社員やアルバイト以外の雇用のチャネルが開かれていたということだったのだ思います。

結構大きなことだったのだと思います。

当時、どのような考えで会社がかじ取りをしたのかわかりませんが、都合のよい安い労働力としか考えていなかったとしたら、すこし甘い考えだったのではと思います。

なぜなら最高裁まで争われるようなもめ事に発展しているからです。

それ相応の理由がなければ、最高裁まで行こうとは思わないですよね…

現在係争中の訴訟はたくさんあるのだと思いますが、特に有名な訴訟が4つあります。

①ハマキョウレックス訴訟(浜松)大阪高裁(通勤・給食手当などの格差)
②長沢運輸訴訟(横浜)東京高裁(定年後の賃金引き下げ)
③メトロコマース訴訟(東京)東京地裁(正社員に手厚い賃金)
④日本郵便訴訟(東京)(大阪)東京地裁(手当や病気休暇の格差)、大阪地裁(扶養手当格差)

日本郵政訴訟は、東京と大阪で別々の係争になっていますので、それぞれの判断がなされています。

先行訴訟だった昨年九月の東京地裁判決では争われなかった扶養手当を新たに認め、年末年始勤務や住居への手当ては六~八割の支払から全額支給へ範囲を拡大する内容となった。」H30.2.22木 中日

これら4つの訴訟のうち、

①と②は最高裁の判断が示されることになる!

ここが注目のポイントなのです。

労働契約法20条(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)について、はじめての最高裁解釈がしめされる。

いままでは裁判例にすぎませんでしたが、この解釈が判例となって、今後の裁判に大きく影響する。そして同一労働同一賃金の現実的な運用にも影響があるということになると思います。

最終弁論の日程は、①ハマキョウレックス訴訟が4/23月、②長沢運輸訴訟が4/20金に予定されています。

判決は5月から6月になる予定です。

わたしはこの日程を記憶しておきたいと思っています。

注目の判決がでるかもしれないからです。

2018年03月20日