見出しを読んだだけでは、意味がわかりづらいと思いますので、まず記事を読んでみたいと思います。
「裁量労働制は労働者の裁量で業務時間などを柔軟に決められ、1日8時の上限が適用されない。デザイナーや編集者、研究者など専門性が高く、時間配分の具体的な指示や管理が難しい業務が対象で、一般的に営業は対象外だ。」H29.12.27水 日経
例外的な法律で定められた二種類の裁量労働制は「専門業務型裁量労働制」と「企画業務型裁量労働制」であると先般ご説明しました。
いずれの「裁量」にも明確に対象業務が定められています。
「専門」は記事にあるような「デザイナーや編集者、研究者など」であり、「企画」は「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務」とはっきりとさだめられています。
この中に「営業」はありませんので、ここが是正勧告の対象になったということです。
「同労働局によると、野村不動産は企画立案などの業務が対象の「企画業務型裁量労働制」を適用する社員に営業活動をさせていた。」同記事
前段の裁量労働制の説明書きが「専門業務型」のことだと思わせられるのに対して、事実は「企画業務型」であった点が、すこし残念ですが… いずれの「裁量」でも営業は対象外です。
営業が対象になるとすると「事業場外みなし」ですが、いまは携帯電話やスマホが普及しましたので、山奥でダム建設調査や林業など、どうしても圏外で仕事を続けなければならないような仕事でない限り、必要条件を満たせなくなってきています。
このことについては、昭和63年1月1日付の基発1号という行政通達で周知されています。
昭和63年というと、携帯電話がショルダー型だったころですね。
通達には具体的に「事業場外で業務に従事するが、無線やポケットベル等によって随時使用者の指示を受けながら労働している場合」には事業場外は適用しません!と書いてあります。
しもしも~♡ のころです 草
「無線やポケットベル」… そんな言い方をしていたのは、わたしがまだ二十代の頃です。
いまだにポケットベルと聞くと、こころがザワザワして公衆電話を探してしまいます…
それはともかく…
その通達があったので事業場外みなしを避けて「企画業務型」を活用したのかどうかは、記事からは読み取ることはできませんが、対象者が驚愕の多さです!
「同社では社員約1900人のうち約600人に裁量労働制を適用。」同記事
そもそも企画業務型裁量労働制は、統計上は0.4%の労働者にしか適用されていない制度です。
それが野村不動産では約79倍の31.5%の従業員に適用されていたことになります。
そりゃ… 目を付けられますぜ… だんな…
それから企画業務型の必要条件を思い出してください!
上司が「働く時間を指示しない」でしたよね!
ということは、野村不動産では従業員の三人に一人が「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務」に従事し、かつ上司が「働く時間を指示しない」会社だったということになります。
とても自由な会社ですが…そこまで自由か?とつっこみたくなりますね。^^;
人数と割合の関係からは、5人未満の会社ならもしかするとそういうこともあり得るかもしれませんが、1900人の会社では… そんなわけはないですよね…
すこし無理があったようです…
どうしてばれたのか記事からはわかりませんが、タレコマれる場合が多いようです…
ムリせず頑張りましょう!
今日の記事ネタまとめ
①裁量労働制で営業 不当適用 野村不動産に是正勧告H29.12.27水(日経新聞)