前回勤務間インターバル制度について、ご説明しました。
理屈はわかるのですが、午前3時に勤務を終了した場合、先回ご紹介した通り、回復運転にまる二日を要するということがわかると思います。
わたしは社労士ですので、こういう一例を見るとすぐに「どう管理するんや…」と導入を前提に考え始めてしまいますが、課題のポイントはどうやらそこではないようです。
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社労士試験によく出題される厚生労働省の統計調査「就労条件総合調査」の平成29年度版が、昨年末の12月27日に公開されました。
そこには今までなかった「勤務間インターバル制度」についての統計が、新たな項目として加えられていました。
今年の社労士試験の受験生!ここ要注意ですよ!
それによると「勤務間インターバル制度を導入していない理由」として「労働管理が複雑になるため」導入したくない!」とした企業は、たったの5%でした!
圧倒的な理由は「超過勤務の機会が少なく、当該制度を導入する必要性を感じないため」38%! 「当該制度を知らなかったため」40%! です…
この二つの理由で80%を占めています!
「現時点でインターバルの導入企業は限られている。厚生労働省の2016年の調査では、導入済みの企業は全国で2.2%。」H29.7.14金 日経
さらに最新の2017年(平成29年)調査では、導入済みの企業は1.4%です。
一昨年よりもむしろ数字が下がっています。
それに対して「導入の予定はなく、検討もしていない」92.9%です!
なぜこのような数字がでるのか?
実は現在社員のほとんど全員が退勤から出勤まで11時間以上の間隔があいている企業、つまり労務管理が行き届いているか、もともと残業がそんなにない会社が70%以上あるということです。
「勤務間インターバル制度を導入しなくても、11時間以上あいてるし!」
ということでしょうか。
しかし!
「退勤から出勤までの間が、11時間以上あいている社員なんてほぼいませんよ!」という会社が12.3%… つまり10社に1社は、取引相手の都合なのか、人手不足なのか、そこのとこはよくわかりませんが、なんらかの理由で社員が会社に残っている!というのも事実です。
この数字を無視することはできないと思います。
「インターバルは政府の「働き方改革実行計画」で企業の努力義務と明記された。」H29.7.14金 日経
具体的には、働き方改革には9つのテーマがあるのですが、その3番目の「長時間労働の是正」の中の2番目の対応策となっています。
政府もまたこの10社に1社に目をとめているのかもしれません。
今年もまだまだ働き方改革だと思います。
9つの検討テーマを列挙しておきたいと思います。
1.非正規雇用の処遇改善
2.賃金引き上げと労働生産性向上
3.長時間労働の是正
4.柔軟な働き方がしやすい環境整備
5.病気の治療、子育て・介護等と仕事の両立、障害者就労の推進
6.外国人材の受け入れ
7.女性・若者が活躍しやすい環境整備
8.雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援、人材育成、格差を固定化させない教育の充実
9.高齢者の就業促進
これに対して19の対応策が設定されていますが、勤務間インターバル制度は5/19番目の対応策とされています。
インターバルを推し進めたいけど、なかなかむずかしい…
患部にだけクスリを注入するカテーテル処置みたいにはなかなかいかないというのが現実みたいです。