[104] 勤務間インターバル 導入じわり、課題も多く(日経新聞)

前回勤務間インターバル制度について、ご説明しました。

理屈はわかるのですが、午前3時に勤務を終了した場合、先回ご紹介した通り、回復運転にまる二日を要するということがわかると思います。

わたしは社労士ですので、こういう一例を見るとすぐに「どう管理するんや…」と導入を前提に考え始めてしまいますが、課題のポイントはどうやらそこではないようです。

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社労士試験によく出題される厚生労働省の統計調査「就労条件総合調査」の平成29年度版が、昨年末の12月27日に公開されました。

そこには今までなかった「勤務間インターバル制度」についての統計が、新たな項目として加えられていました。

今年の社労士試験の受験生!ここ要注意ですよ!

それによると「勤務間インターバル制度を導入していない理由」として「労働管理が複雑になるため」導入したくない!」とした企業は、たったの5%でした!

圧倒的な理由は「超過勤務の機会が少なく、当該制度を導入する必要性を感じないため」38%! 「当該制度を知らなかったため」40%! です…

この二つの理由で80%を占めています!

「現時点でインターバルの導入企業は限られている。厚生労働省の2016年の調査では、導入済みの企業は全国で2.2%。」H29.7.14金 日経

さらに最新の2017年(平成29年)調査では、導入済みの企業は1.4%です。

一昨年よりもむしろ数字が下がっています。

それに対して「導入の予定はなく、検討もしていない」92.9%です!

なぜこのような数字がでるのか?

実は現在社員のほとんど全員が退勤から出勤まで11時間以上の間隔があいている企業、つまり労務管理が行き届いているか、もともと残業がそんなにない会社が70%以上あるということです。

「勤務間インターバル制度を導入しなくても、11時間以上あいてるし!」

ということでしょうか。

しかし!

「退勤から出勤までの間が、11時間以上あいている社員なんてほぼいませんよ!」という会社が12.3%… つまり10社に1社は、取引相手の都合なのか、人手不足なのか、そこのとこはよくわかりませんが、なんらかの理由で社員が会社に残っている!というのも事実です。

この数字を無視することはできないと思います。

「インターバルは政府の「働き方改革実行計画」で企業の努力義務と明記された。」H29.7.14金 日経

具体的には、働き方改革には9つのテーマがあるのですが、その3番目の「長時間労働の是正」の中の2番目の対応策となっています。

政府もまたこの10社に1社に目をとめているのかもしれません。

今年もまだまだ働き方改革だと思います。

9つの検討テーマを列挙しておきたいと思います。

1.非正規雇用の処遇改善

2.賃金引き上げと労働生産性向上

3.長時間労働の是正

4.柔軟な働き方がしやすい環境整備

5.病気の治療、子育て・介護等と仕事の両立、障害者就労の推進

6.外国人材の受け入れ

7.女性・若者が活躍しやすい環境整備

8.雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援、人材育成、格差を固定化させない教育の充実

9.高齢者の就業促進

これに対して19の対応策が設定されていますが、勤務間インターバル制度は5/19番目の対応策とされています。

インターバルを推し進めたいけど、なかなかむずかしい…
患部にだけクスリを注入するカテーテル処置みたいにはなかなかいかないというのが現実みたいです。

2018年01月25日|ブログのカテゴリー:働き方改革