日本ガイシが、全従業員の定年を65歳に引き上げました。
一旦60歳で定年を迎え、退職金ももらったうえで、こんどは嘱託などになって同じ会社で働き続けるというのは「継続雇用」です。これは随分定着してきました。
しかし!「定年を引き上げること」と「継続雇用」は、少し立ち位置が異なります。
かつては55歳定年が普通でした。それが1986年から60歳定年が奨励され、1998年から60歳未満の定年は法律で認められなくなりました。
当時もそれなりのインパクトがあったと思いますが、いま再び5歳の引き上げはおおきなインパクトがあると思います。
定年延長で人件費が増加するというのは、実はだれしも想像することで、人事部的にもなんらかの人件費の「当て」があって、制度を導入するのが普通です。
なので… 悩ましいのはそこではありません。
先輩部長が、さらに5年会社にいるということ…こそ、悩ましいポイントです。
ポストが空かない、昇進が5年遠のく…ということを覚悟しなければならないひとがいるということです。
何を言われても逆らわず、気遣いをたやさず、ときにはパシリ… (大人なのに…)影のように部長に寄り添いつづけて、気働き… そして!ついに!部長に就任した苦節のひとを、サラリーマン時代にわたしは何人も見てきました。ナンバー2の(下積み?)時代が長ければ長いほど、昇進後は、別人ではないかと思うほど、晴れがましいひとが多かったように思います。
このハレの日が、5年先送りされる… と考えると、微妙な気持ちになります。
定年延長までしなくとも、現在は本人が希望すれば、法律的に会社は先輩部長を65歳まで引き続き雇いつづけることが「義務」となっています。
部長の席にようやく座れた!新任の部長は、それはそれは晴れがましいのですが、その隣に嘱託となってすわるかつての部長の気持ちにも慮る(おもんぱかる)必要がありそうです…
よかれと思った元部長のひとことで、新部長が凍り付いてしまった…
ピカピカの新任部長を見た元部長が、役職のはかなさを憂えた…
なんとも微妙な気持ちだと思います。
微妙な気持ちが、いい結果を生むことはあまりありあません。
だからこそ!
このようなことを「法律ですから」「全体最適です」「要員的には適正ですが、なにか?」「次から次から定年は発生するのですから!」と簡単にかたづけるのではなく、新任部長も元部長も、本当のハレの日を迎えることができるように、レベルの高い、難しい仕事に取組み、血の通う制度づくりに腐心する人事担当者! がひとりでもたくさんいることを祈っています…
頑張ってください!
応援しています!
誰でも年をとるのです…(ポツリ…)
今日の記事ネタまとめ
①「65歳に定年延長(日本ガイシ発表 全従業員対象)」H29.3.18土 日経新聞
②「再雇用の年齢制限撤廃(人手不足、後期高齢者も活用 ファンケル)」H29.3.31金 日経新聞
③「熟練技能者など70歳に雇用延長」H29.3.20祝 日経新聞