[217] 契約社員にも退職金 東京高裁判決「全くなしは不合理」(日経新聞)

東京メトロの子会社『メトロコマース』の契約社員として駅の売店で販売員をしていた女性4人が、正社員との間に不合理な待遇格差があるとして損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が20日、東京高裁であった。」H31.2.21木 日経39面 社会

これは‼

東京メトロの子会社が訴えられたいわゆる「メトロコーマース事件」の二番絞り(第二審判決)です‼

この「みん新」でも「メトロコーマース事件」の東京地裁判決と同一労働同一賃金との関係について、解説をしました。


一昨年の東京地裁での判決では、訴えた人は勝訴したことは確かなのですが、東京メトロの子会社『メトロコマース』に支払うように裁判所から命ぜられた額は、一人当たりわずか4千円程度でした。

(くわしくは下記のリンクをご参照ください。)

[043](判決)メトロコマース事件…① H29.7.24
[044](判決)メトロコマース事件…② H29.7.26
[045](判決)メトロコマース事件…③ H29.7.28

その4千円が高等裁判所での第二幕(第二審)では、裁判所から命ぜられた額は112.5倍以上になりました。

川神裕裁判長は『長期間勤務した契約社員に退職金の支給を全く認めないのは不合理』とし、4人のうち2人に退職金45万~49万円を支払うように命じた。」同記事

(450,000円 ÷ 4,000円=112.5)

前回ご紹介した大阪医科大学の判決のポイントは「アルバイトに賞与(ボーナス)を認める‼」でした。

この度のメトロコマース事件の東京高裁判決のポイントは「契約社員に退職金を認める‼」です。

いずれの判決も高等裁判所のものであり、どこの会社でもたくさん雇用していることの多い「契約社員」や「アルバイト(=有期パート)」に、ボーナスや退職金を支払わねばならなくなる可能性があり、大げささを差し引いても余りある影響する範囲の広い衝撃的な判決だと思います。

非正規労働者には退職金が支給されないケースが多い。原告側弁護団によると、支払いを認めた判決は初めて。」同記事

さらに‼

住宅手当に関しても生活費補助の側面があり、職務内容によって必要性に差異はないと指摘。3人への11万~55万円の支払いを命じた。」同記事

これがボクシングなら「コーナーに追い詰められて、一方的な連打を浴びている‼」状態です。

正社員とは配置転換の有無などの労働条件が異なるとして、賃金や賞与などの格差は容認した。」同記事

かろうじて顔面直撃をグローブのガードでしのぐのがやっと…のような感じです。

原告側は認められた支給額が低いとして上告する方針。」同記事

ひゃあ~ やっぱりKOまでいく…


最終ラウンドは最高裁です‼

原告側はこの波に乗って畳みかけてくるに違いありません。

どのような結末になるのか目が離せません‼

……

地裁判決から高裁判決まで約1年半かかっていますので、最高裁判決まで同じ期間かかるとすると、最高裁判決は2020年秋ぐらいでしょうか。

同一労働同一賃金の法律施行が、大企業2020年4月、中小企業2021年4月ですので、なんともタイミングのよい?最高裁判決の時期になりそうな予感です。

特に中小企業の現場は「同一同一」について、今すぐにでも体制づくりをしておく必要があると思わせる高裁判決でしたし、最高裁判決は「トドメ」? になる可能性が高いと思います。

2019年03月05日