[213] フリーター 正社員への道広がる(日経新聞)


学校卒業後にアルバイトなどで生計を立てるフリーターの間に、正社員就職の道が広がり始めている。」H31.2.3日 日経6面 総合4


具体的にどのぐらい数字に表れているかを総務省の労働力調査で確かめてみました。

労働力調査 平成30年平均(速報)

減ってる!減ってる!

2011年に184万人いたフリーターは7年後の2018年には143万人に減っています。

ピーク(2011)と比較すると約22%程度減少しています。

大学を出てからずっとアルバイトだった27歳の女性は『このままではまずいと昨年末に就活を始めたら意外にとんとん拍子で内定が出た』と打ち明ける。」同記事

かなりイージーな印象を受けますが、特に中小企業での人手不足が背景にあるようです。

売り手市場で新卒採用に苦戦するなか、卒業後の経歴を問わず若手を採りたい企業が中小企業を中心に増えてきているためだ。」同記事

先ほどのグラフに「有効求人倍率」を重ねてみると、この記事の意味が定量的に理解できます。

有効求人倍率の「底」は2009年(0.47)だったのですが、それ以来有効求人倍率は、ご覧のとおり一貫して上昇を続けています。
(注:2018年は参考値)

ところが…フリーターの数は、有効求人倍率が上昇に転じても数年に渡り減る気配がありませんでした。(2010~2014)

求人の対象として企業は当初(2010~2014)は、フリーターには興味を持っていなかったと読むここともできます。

転職組や主婦層や高齢者などを当初はターゲットとして企業は採用活動をいましたが、それでも人手不足が解消できず、人手不足感がはじまってから5年経過したころ(2015)から、フリーターの市場に手を伸ばし始めたようにグラフは読めます。

2015年からはフリーターの数がガクガク下がり、その傾向がぐいぐい効き始めました。

かねて既卒者は企業から敬遠されがちで『求人をもらおうと100件電話しても1件アポイントがとれるぐらい』(人材会社ブラッシュアップ・ジャパン=東京・新宿)だったが、ここ数年様変わりをしている。」同記事

「ここ数年」というのが、2015 2016 2017 2018 の4年間であることが、グラフから読み取ることができます。

レバレジーズ(東京・渋谷)では年間4万人が就職相談に訪れ、うち8割が1カ月程度で内定を得る。」同記事

これは… すでにフリーター市場が「狩り場」になっているということです!

このままではたちまちフリーターが消滅してしまうのでは…と思ってしまいますが、現実はどうやら少し様子が違うようです。

人材各社への登録者は減ってもおかしくないが、実際は増えている。」同記事

なぜか?

新卒で入った会社を早期離職した層が年々増えたためで。今では半数近くを占める。」同記事

「早期退職した層」はフリーターとは限りませんが、若年層の人材「流動率」はフリーターを巻き込んで、高まりを見せているということのようです。

既卒者の就職でも定着が課題だ。」同記事

採用のみならず採用後にもそれなりにコスト(手間暇)をかけて「成長」を実感させなければ、若年層はまた転職へ簡単にチャレンジ(流出)してしまうという「絵」になっています。

このような現実をまずは冷静に(定量的に)理解することが、経営者の方々や人事採用担当者には、どうしても必要なことのようです。

2019年02月19日