[206] フリーランス支援 法整備 厚労省、労災適用など検討 ②(日経新聞)

前回このようなお話をしました。

① 取締役は一部の例外を除いて、労災には加入できない‼

② しかしそれは中小企業の実態にあわない‼

③ だから①のルールを覆して「特別」に加入する仕組みが用意されている‼

この度は③のことについて書いてみたいと思います。

③は文字通り「特別加入」と言います。

わたしは労災関係を専門とする社労士ではありませんが、中小企業の社長と交流する中で、この「特別加入」の質問やお問い合わせが思いのほかおおくあります。それだけ「需要」のある知識なのだと思います。

「特別加入」には3種類あります。

第1種 = 中小事業主等(会社の社長や取締役など)
第2種 = 一人親方等(個人タクシーの運転手など)
第3種 = 海外派遣者

「第1種」が前回お話した本来ならば加入できない取締役が労災に加入できる「裏技」的なものです。

そして…

「第2種」がもっともフリーランスに近いものではないかと思っています。

すこし余談になるかもしれませんが、第1種の「中小事業主等」の特別加入は、従業員が1名以上いないと「特別加入」することができません。

なんのことを申し上げているかと言いますと、中小企業庁の2016年6月時点の調査では中小企業は357.8万者あります。(「社」ではなくて「者」で正しいのです‼ 事業「者」ですから‼)

この中小企業のうち基本的に従業員が20人以下の小規模事業者は304.8万者あるとういうことです。

つまりほとんどが小規模事業者なのです。

この小規模事業者の中には「従業員がひとりもいない会社」も含まれています。

株式会社だけど社長だけしかいない会社があるということです。

従業員がゼロですから、このような会社は「第1種特別加入」には残念ながら加入できません。

このような場合には「ひとり社長」=フリーランス的に考えて、第2種の特別加入を検討することになります。

厚生労働省はフリーランスの仕事中のケガや病気を補償する労災保険の適用…を検討する。」「個人タクシーの運転手や大工、左官らを対象にした特別加入の枠組みを広げる方向で、デザイナーや技術者などが新たに入る可能性がある。」H31.1.10木 日経3面 総合2

記事にはこのように簡単に労災適用を検討すると書いてありますが、フリーランスにもっとも近しい第2種特別加入をするためには、少々条件があります。

1.同業種の労働保険事務組合に加入しておく必要がある。
2.ここでいう「同業種」は法律であらかじめ決められている。
3.特別な作業をする人(特定作業従事者)も加入できるが、この作業も法律であらかじめ決められている。

現在の法律のままだとフリーランスだという理由だけで第2種特別加入は利用できそうにありません。

なんらかの法改正が必要になってくると思われます。

また1.の「労働保険事務組合」は30以上の同業の事業主(フリーランス?)が集まらないと認可されないなどの細かな?レギュレーションがあり、フリーランスが無事第2種特別加入ができるまでには、思いのほか多くのハードルがありそうです。

厚労省はこうした働き方を『雇用類似』と位置づけ、労働法制による一定の保護を導入する方向だ。」「厚労省は保護策の方向性を19年夏にも有識者検討会でまとめる方針だ。」同記事

近々動きがあるという報道ですよね。

実際に法改正になり、フリーランスが労災加入することになれば、社労士としても適正な加入へ案内することが仕事になるかもしれません。まずは夏の有識者会議に注目する必要がありそうです。


2019年01月24日