[196] 繰り下げ受給を「定期便」で周知 年金巡り厚労省(日経新聞)

厚生労働省は年金の受け取り見込み額などを知らせる『ねんきん定期便』を活用し、受取りを65歳より遅らせると金額が増える『繰り下げ受給』を周知する。」H30.11.28水 日経5面 経済

この記事が「経済」面に掲載されていた事実が、とても興味深いと思います。

そもそも年金の「繰り下げ受給」とは何か?をまず解説しておく必要がありそうです。

原則として「公的年金」と言われる厚生年金や国民年金は、65歳から支給される仕組みになっています。保険会社などで「年金保険」という商品がありますが、それとは話が別ですのでお気をつけください。

この年金の支給開始の「65歳」は絶対かというとそうではありません。

例えば「病気がちで今すぐお金がほしい!」などという人のためには、最大5年早めて支給される「繰り上げ支給」という方法があります。

つまり年金は原則65歳からの支給がルールですが、60歳からでも受給できる特別ルールがあるということです。

逆に「65歳を過ぎても現役バリバリ!お給料をもらっているので年金はあとでもらいます!」という人には、最大5年遅らせて支給されることにする「繰り下げ受給」という特別ルールもあります。

実は「繰り上げ」の場合、月に0.5%ずつ年金が減額されます。つまり5年早く年金を受給すると5年×12カ月=60カ月×▲0.5%=▲30%ですから、65歳から200万円年金が受給できる人が「繰り上げ」を行使して60歳から受給を始めると140万円しか年金を受給できないということになります。

逆に「繰り下げ」の場合、月に0.7%ずつ年金が増額されます。つまりつまり5年遅く年金を受給すると5年×12カ月=60カ月×△0.7%=△42%ですから、65歳から200万円年金が受給できる人が「繰り下げ」を行使して70歳から受給を始めると284万円もの年金を受給できるということになります。

なるほど…

このように理解して「めでたし めでたし」かと思うとそうでもない!ということが、11/24土の日経17面(マネー&インベストメント)の記事のポイントです。


年金は通常、給付される際に所得税や健康保険料・介護保険料が差し引かれる。老後設計上は繰り下げの効果も手取りベースで考えるのがより望ましい。

つまり先ほどの例でいくと「繰り上げ」した場合に所得税が課税されるのは140万円であるのに対して「繰り下げ」の場合は284万円に課税されるということです。

140万円に対する税率は5%であるのに対して、284万円にたいする税率は10%です。

控除額のあるなしがありますので、具体的に所得税を計算すると「繰り上げ」時の所得税は70,000円(1,400,000円×7%-0円 [控除額] )であるのに対して「繰り下げ」時の所得税は186,500円(2,840,000円×10%-97,500円 [控除額] )ということになります。

所得税を差し引いた残りは「繰り上げ」1,330,000円「繰り上げ」2,653,500円です。

所得税の他に住民税や国保、介護保険料などが差し引かれますので、記事の早見表で読み取ると「繰り上げ」131万円「繰り下げ」239万円という額が、おおよその手取り額になります。

記事の見出しは「年金繰り下げ 損得勘定」となっており、確かに所得が多い方が税率が高くなり、負担する税額も増えることはたしかですが、直感的には「繰り下げ」た方がたとえ税金が高くなっても、年間100万円余りたくさん「手取れる」わけですから、個人的にはこちらの方がよさそうに思います。

あとは「死なない!」こと!

90歳まで生き起こる確率は、男性約40%、女性60%ということです。(同記事)

どちらにかけてみますか?
(>_<)

年金は仕組みも難しいですが、仕組みが分かったあともむずかしいと思います…

2018年12月13日