[192] 「転職で賃金増」の動き続く(日経新聞)

転職で賃金が上がる動きが続いている。民間調査では3割を超える人が転職によって賃金が1割以上増え、過去最も高い水準にある。」H30.11.4日 日経2面 総合1

わたしもお勤め人の頃に、転職を経験したことがあります。

転職をしたのは89年のことでしたので、バブルの真っ最中のころでした。世の中札束が右から左へ増えながら移動していたような時代でしたが「転職すると年収下がる説」が意外にも根強く生きていました。

現在のようにネットで求人どころか、ネットはパソ通の時代でモデムの速度が1200bpsから2400bpsになっただけで衝撃を受けていた時代でしたので、転職は日曜日の新聞に掲載される求人欄か、転職雑誌でした。

転職エージェントは、まだまだ一部のエグゼクティブのものでした。

転職は若い世代がより良い待遇を求めてすることが多い。」同記事

わたしはまさにこの手の求職者でしたが、どうやらその様相が変わってきているみたいです。

最近は中高年の世代にも転職の恩恵が及ぶ。36歳以上の転職で18年7~9月に賃金が1割以上増えた人は全体の22.1%で、12年末より9ポイント上がった。上昇幅は35歳以下より高い。」同記事

「中高年の世代」というのが「36歳以上」となっていて、たいへんザックリしているところは気になりますが、それにしても転職が20代だけのものではなくなっているらしいということはこの数字から読み取ることができます。

転職での賃上げをけん引するのはIT(情報技術)分野だ。」同記事

わたしが社会人としてはじめて就職した会社は製造業でしたが、理系出身者と文系出身者との間には、見えないカースト?のようなものを敏感に感じていました。

もちろんメーカーで上位に位置するのは理系出身者です。役員のほとんどが理系出身者だと気が付いたのは、入社したあとになってからでした。

理系出身者がいわゆる手に職と言える専門性をもっていることの社会的強さを文系出身者のわたしは痛切に感じましたが、どうやら同じようなことが30年経過した現在も続いているようです。

いつの時代になっても、専門家の価値はかわりません!

17年度にエンジニアとして転職した人は29.6%で賃金が1割以上増えた。」同記事

専門性を磨けば、高く売れる!ということです。

この比率は13年度より8.3ポイント上がり、2.1ポイントは36歳以上による押上げ分だ。」同記事

専門性は年齢による劣化は受けにくいと読むこともできます。

大学受験の分野でも景気が停滞すると理系進学希望者が増加する「理高文低」現象が起きることがありますが、その背景には専門性にたいする根強い評価があると言わざるを得ません。

第一生命経済研究所の熊野英生氏は『学び直して何歳でも技能を付けられる環境が必要だ』と指摘する。」同記事

確かにその通りなのですが、どのような方向に専門性を磨き上げていったらよいのか、自分のこれからの社会とのつながりやかかわりはどのようにしてきたいのかなどについて、自分で考えて自分で行動するのはとても難しいことだと思います。

そのような悩みについて、大所高所から導いてくれるメンターのような人がいれば、なお効率的に目的意識をもって、キャリアを形成することができると思われますが、この点がAIが職場に進出しようとしている現在でも、まだまだ未整備のような気がします。

特に理系か文系かは、高校生の間に雌雄が決まってしまうことが多いと思います。

つまり職業に対する覚悟は十代の頃にしておく必要があるということです。十代の高校生が何十年も先を見通して、このような覚悟をすることはまず無理だと思います。やはり「大人の手助け」ができれば(どうしても?)必要になるはずです。

大学で就活をするときでは、もはや遅いと思います。

文系が突然理系になれるわけはないですから…

2018年11月29日