[190] 労働生産性 上昇足踏み 就業者増加で(日経新聞)

労働生産性の向上に足踏み感が出ている。… 働き方改革などで生産性を引き上げる一方で、就業者の増加で伸びが鈍化している。」H30.11.13火 日経5面 経済

これを一読して「ピィン!」とくる人は、かなり生産性のことに精通している人だと思います。

実務的な生産性の算出は、決算報告書のページを期ごとに繰って「損益計算書」の中の販管費(販売費及び一般管理費)の明細をみながら、必要な科目の数字を転記することから始める必要があります。

転記する項目は、ざっとこんな感じです。

① 給与手当
② 賞与
③ 通勤費
④ 法定福利費
⑤ 福利厚生費

⑥ 減価償却費

⑦ 地代家賃
⑧ 賃借料

⑨ 租税公課

⑩ 営業利益

ちょうど10項目ですね。

①~⑤は別名:人件費
⑦と⑧は別名:動産・不動産賃借料と呼ばれることもあります。

呼び方はともかくこれら10項目を足した答えが「付加価値」ということになります。

そしてこの「付加価値」を「働いた人数」で割った答えが、ようやく「生産性」というわけです

つまり「付加価値」が増えたとしても、結局「働いた人の数」で割って、いわば平均を出したものが「生産性」というわけですから、「働いた人の数」が「付加価値」の増加以上に増えると平均は下がる! つまり「生産性」が低下する!ということになります。

この記事はそのことを言っています。

2017年度の実質労働生産性の上昇率は16年度に比べて0.3%。3年連続でプラスが続いたが伸び率は小幅にとどまった。… 15年度の上昇率は前の年度に比べて0.9%だったが、16年度は0.2%、17年度が0.3%と停滞感が出ている。」同記事

飽和してきたということでしょうか。

日本生産性本部は『業況にかかわらず、人手不足感から従業員を増やしていることが生産性を伸びにくくしている』と説明。」同記事

かたや「外国人労働者 最大34万人」H30.11.13火 日経(夕刊)1面 という記事にもあるように、出入国管理法を改正し「特定技能1号」と「特定技能2号」という新たな外国人の在留資格をつくり、外国人労働者を受け入れようとしています。

労働力が充足し「生産性」が向上すれば目論見通り!ということになりますが、同じ日の同じ新聞社の朝刊と夕刊で、すこしコンフリクトの起きそうな記事がそれぞれ掲載されていたことは、たいへん興味深いことだと思います。

よぉーく、意味を考えてみる必要がありそうです。

2018年11月22日