「会社員らが3メガ銀行に持つ給与振込口座にあるお金の流れを見ると、クレジットカード代金などの口座振替や振り込みが54%を占めることが金融庁の試算で分かった。」H30.11.10土 日経5面 総合4
このところ「キャッシュレス議論」に関する記事が増えてきたように思います。
みん新でご紹介したものを振り返ってみますと。
[188] 外国人受け入れ「賛成」54% 若年層ほど肯定的(日経新聞)2018年11月15日
この中で「キャッシュレス決済時のポイント還元」の賛否の結果について解説しました。
[186] コンビニ収納代行拡大 現金派 若年層に根強く(日経新聞) 2018年11月08日
[185] 給与、デジタルマネー解禁 厚労省方針「脱・現金」へ一歩(日経新聞)2018年11月06日
「現金 vs デジタルマネー」の構図がここにあります。
いずれもお金には変わりがありませんので、いかにも東宝チャンピオン祭りの「ゴジラ対メカゴジラ」のような様相です。
わたしは小学生の頃にこの映画を劇場で見ましたが、ゴジラ同士が戦う姿に正義と悪、勧善懲悪を超えた乗り越えるべきものと乗り越えられるべきものが一つ(ゴジラ)の中に混在している妙な感覚に襲われて、不安になった記憶があります。
このキャッシュレス議論には、それに似たものがあるように思います。
「現金の引き出しは45%にとどまる。」同記事
だったらメカゴジラ優勢でポイント還元などに税金を使わなくともキャッシュレス化はすでに日本ではすすんでいて「外国人への給与支払いもうまくいくのジャネぇ?」と思ってしまいそうになる書きっぷりです。
「日本は現金を使わないキャッシュレスが2割とされるが、家賃などの口座振替などを含めると中国並みになる。」同記事
さらに記事にはとどめのような一文があります。
「『現金志向』の議論に一石を投じる試算となった。」同記事
この記事からは一体どこのどの議論に一石を投じたのか具体的なことは、残念なことになにひとつわかりません。日経新聞社の見解と思えばそれまでなのですが、どうも日頃の現金とキャッシュレスの使い分けの生活感覚、つまり今時点でキャッシュレス優勢(メカゴジラ優勢)というのは、しっくりとなじまないことも確かです。
個人的な感覚ではいまだにゴジラ優勢なのです。
「政府は家計の消費支出を対象にクレジットカード、デビットカード、電子マネーで支払われた額をキャッシュレス比率とする。」同記事
この部分を注意深く読む必要がありそうです。
つまり先ほどの金融庁の試算でキャッシュレス優勢(メカゴジラ優勢)とでた数字に、日経新聞が「一石を投じる試算」としたものは、とにかく現金を使わなかったものすべてのことを言っているのに対して、政府が推し進めようとしているのは「消費支出」であるというポイントです。
確かに水光熱費も家賃も接待交際費も「消費支出」といえばその分類になるかもしれませんが、実のところは“スーパーでカードを使う人の割合”とか“交通系カードでランチ代を支払う人の割合”のようなことを目指しているように思います。
そう考えると現時点ではまだまだ(ゴジラ優勢)のような気がします。
「現在この比率は約20%にとどまっており、2027年までに40%に高める目標を掲げている。」同記事
約10年後になっても、いまだに「ゴジラ優勢(60%)」(メカゴジラ劣勢 [40%])だということを言っています… イラストが何ととなく話と逆の高さになっていますが、ゴジラにメカゴジラが弾き飛ばされたとみえないわけでもありません。