[187] 仕事のストレス話して楽に 民間調査「管理職の会話術重要」(日経新聞)

仕事について相談できる人が周りにいるかどうかがストレスの高低を左右する――。こんな調査結果をメンタルヘルスケアを手がけるセーフティネット(東京・千代田)がまとめた。」H30.10.22月 日経34面 社会

そりゃそうだよね。

特に定量的な根拠があってそう思っているわけではありませんが、わたしもお勤め人を30年近くやってきましたので、経験的にひとりぼっちで抱え込んでいるよりも、いいもわるいもわかちあえる人がいる方がやる気もでますし、心が折れそうになることもすくないと思います。

相談できる人の有無は睡眠時間とも相関性があり、睡眠が4時間未満の人の38%が「相談できる人がいない」としたのに対して、5時間以上になると80%以上が「相談できる人がいる」と回答。顕著な差がみられた。」同記事

睡眠との関係が統計的に相関があるというのは興味深いと思います。

相談できる人がいないと残業時間が長くなるという結果も。職場に相談できる人がいないことで「残業時間が延び、睡眠時間が短くなって高ストレス状態になる」という悪循環に陥っている可能性がある。」同記事

働き方改革で声高に言われているように残業時間を短くしたければ「相談できる人」を従業員ひとりひとりに確保できるようにすればよい!と読むこともできそうです。

一体誰に相談するのかについて、厚生労働省が数年ごとに実施している「労働者健康状況調査」という統計の中にアンサーがありそうです。

ご紹介したいと思います。

現在の自分の仕事や職業生活での不安、悩み、ストレスについて「相談できる人がいう」とする労働者の割合は90.0% [19年調査 89.7%] となっており、女性(93.4%)の方が男性87.2%より高くなっている。』平成24年労働者健康状況調査

9割のひとには「相談できる人」がいるという結果になっています。
9割というのはなかなか高い比率だと思います。

「相談できる人がいる」労働者が挙げた相談相手(複数回答)は、「家族・友人」(86.7%)が最も多く、次いで「上司・同僚」(73.5%)となっている。』平成24年労働者健康状況調査

「上司・同僚」(73.5%)!

同僚はわからないでもありませんが、上司!がここに入っているということです。むろん上司と同僚の占有比率は残念ながらわかりませんが、少なく見積もって1:4だとしても14.7%あることになります。

カウンセラー等(4.3%)、産業医(8.3%)という割合ですから、それらと比較しても「上司」の支持率の方が高いような気がしてきます。

仕事の窮状を上司とわかちあう!というのは理屈の上では理想的な関係だと思いますが、個人的な経験を基にすると、上司と本音で相談したり、悩みを打ち明けるということができるものではないと思います。

なぜなら人事考課権を握っているのが上司だからです。

うかつに弱みを見せるわけにはいきません!ちなみに私は30年近くお勤め人をしてきましたが、上司に「現在の自分の仕事や職業生活での不安、悩み、ストレスについて」相談したことは一度もありませんでした。

しかし時代がかわり、会社の仕組みもかわってきていることも確かです。

昭和の時代は上意下達のピラミッド型の組織構造が多かったのだと思います。「部長」ともなると新入社員はうかつに口をきくこともできないぐらいの空気がありました。日本経済もバブルにむかって拡大を続けており、大きな部署で言われるとおりにやっていれば成果があがっていた時代でした。

ところがバブル以降「部長」の言うとおりにやっていても成果が上がらない時代になってきました。会社の組織構造も細分化され、数人のメンバーに一人の管理職がつき、上意下達ではなく相談して物事をすすめるフラット型の組織に様変わりしてきました。

こうなると管理職の役割は大きく変わった!といわざるを得ません。

同社(セーフティネット)の山崎敦社長は「管理職のコミュニケーションスキルが部下のメンタルヘルスに影響する」と指摘する。」H30.10.22月 日経34面 社会

叱咤激励型の上司はいまやむかしで、部下のお世話をするメンター型の上司が時代にぴったりになってきたのかもしれません。

25年ぐらい前にフジテレビで「愛という名のもとに」というドラマがありました。証券会社に勤めている篤くん(チョロ)の会社の上司はなかなか厳しく描かれていましたが、いまやそのような上司は絶滅危惧種に指定されているということかもしれません。

絶滅していなくとも、もはや流行らないということを記事は言っているように思います。

2018年11月13日